つばめ

中学生になると、いろいろなものに興味が湧くようになりました。

道で轢かれている猫の死体。

近所のうるさい犬。

でも、それらを食べようにも、周りの目があったので、食べるわけにはいきませんでした。

でも、中学2年の春、絶好の機会が訪れました。

中学校の渡り廊下に、つばめが巣を作っていたのですが、体育の時間にお腹が痛くなり、保健室に向かおうと渡り廊下を通ったら、その巣から、つばめの雛が一匹落ちていたんです。

体育館からはバスケをするクラスメイトの声は聞こえますが、誰もこっちに来る気配はありません。

頭上ではつばめの雛がうるさく鳴いています。

落ちた雛はよわよわしく鳴いていて、まだ生きていました。

この小さな生命を、「食べたい」と、思いました。

雛をつまみ上げると、指先で命を感じました。

ふっと、砂を吹くと、頭から、齧りました。

しょっぱい、そして苦い感触がありました。

雛の体からは血が流れます。

急いで頭を奥歯で噛み砕いて、血をすすりながら、雛の体も口に入れました。

雛の足が硬かったですが、噛み砕くことはできました。

雛の血の味と、苦味を味わって、ごくりと飲み込みました。

不思議なことに、雛を食べ終えると、腹痛が治まっていました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る