第20話 神でも持病はあるものだ!

新たに1人が同居することになり、遂に今まで過ごしてきた家(もともとはラーの家)も狭く感じるようになってきた。


〔そういえば、カスタはこっちに来たけどあっちの世界は大丈夫なの?主にパワーバランスの面で、だけど。…おっ、2枚出せる!〕


「あっ、確かに。カスタが離れると聖芒星の生態系が崩れるんじゃ。…私の勝ちです。ドローフォーだから4枚引かないといけないんだよ、尊桜。」


《そうなんか⁉︎ うぅ...、手札が18枚に...。本体が死なん限り影響は与え続くるけん問題なかて思うばい。…これならいくるはず、どげんもんだぁ〜‼︎》


[尊桜の言うとおりである。基本は問題なかろうて。…むむむ。ここですきっぷ?のカードを使うとは、なかなかやるのぅ!]


ウノをしながら話を進めていると、突然ラーが暴発した。


〔ちょっと待って!趣旨変わってる!遊戯会になっちゃってる!最初、狭くなったうちの改修についての会議だったはずでしょ‼︎〕


「そういえば...、そんなこと言ってましたね〜。

…てか先輩の番だから早くしてください。」


〔あ、ごめんごめん。…じゃなくって!うのはここまで!はい、会議始めるよ‼︎〕


今まで進めていたせっかくのゲームを台無しにされ、心底残念に思った。別に楽しんでいたんだから無理やり辞めさせる必要はないじゃないか!


しかし、ゲームが続行できなくなった以上、家族会議をするしかない。


「はぁあーーーー‼︎ で、どうするんですか💢ゲームを台無しにした以上、相応の一大事なんですよね?」


《楓様、イライラば抑えてくれんね。それで、どげんしようと考えとるんと、ラー様?》


〔え?今から考えるんだけど?逆にどうしたい?〕


今度は楓の堪忍袋の緒がはち切れるかと思われたそのとき、


[最近わかってきたが、ラー殿は些か無鉄砲すぎぬか?]


とうとうカスタにも指摘され、ガラス(笑)のハートをレッツブレークされたラーは、あきらかにボロボロになっていたがなんとか話を続ける。


その姿を見た楓は笑いを堪えてプルプル震えていたが。


〔私の生来の性格が終わっていることはわかったから、もう勘弁して...。話を戻すけど、改装したいのはね、部屋の増築とリビングの拡張、それにベッドやイスとかも増やさないと。〕


ラーは流石に大家なだけに今の家の問題点をしっかり把握しているようだ。


「いざ聞いてみると意外に多いですね。基本は自分たちで創造して終わり、なんだけどね!」


異世界ならではの解決方法が地球よりもずっとか楽なことに、感動を覚えた。


楓の感情豊かさレベルは5upした!(テレレレテッテッテ-!)


《そういえば一つ、書類ん山で埋め尽くしゃれとー部屋がなかやったか?あれ全部なおしたら空き部屋出来るよね?》


そういえばそんな部屋があったような気がする…。あれって確か…。


〔えぇ〜。あれ、片付けるだけで徹夜確定だよ?絶対嫌だし。〕


そう、今までサボってきた仕事の山だ。自業自得にもかかわらず、今も労力を渋るラーにイラッときた。せっかくなのでカマをかけておく。


「いいですね。それじゃあ先輩、1人で今日中に片付けておいてくださいね。私たち(主にカスタ)、待ってますから!」


いい笑顔で爽やかに語りかける。ラーは表情筋が限界まで凝り固まっており、ガチ泣き寸前だ。


《うちらは手伝わんのか?あん量は1人でやろうとしたっちゃ途中で心が折るーばい。》


[然り。我も助力した方がよかろう?居候を申しているのは私の方なのだ。]


「大丈夫!先輩はやればできる人だって信じてますから‼︎」


そうして逃げることができない雰囲気を完成させた。


これで先輩も逃げ出せまい!


〔わかったよぉ!やればいいんでしょ‼︎〕


ようやくやる気になったようで(強制)、早速問題の部屋にラーは入っていった。


今まで溜めていた書類を全て消化するのに、ぶっ通しで11時間かかったのだった。



===



仕事を終えて、


〔もう、ダメ。これなら、いっそ倒れて、介抱された方が、マシだ。〕


部屋を埋め尽くしていた全ての紙を処理し終えたラーは精神的に追い詰められていた。


「そんなこと言わないでくださいよ。おかげで新しくカスタの持ち部屋ができたじゃないですか。まぁそもそも、ここまで溜めていた自分のせいなんですけどね♬」


悩みのタネだった書類の片付けを終えられた私はかなり上機嫌だった。


…そもそもなんで自分のことじゃないのにこんなに悩まなければならないのだろうか?


[ここが私の新たな住居...。少し落ち着かぬものがあるな。]


「まあ、そこはこれからカスタマイズしていくもののとして。とりあえずいい時間だし、夕食にしましょうよ。尊桜、準備できてる?」


《もちろんできとーばい。カスタん歓迎祝いやけん腕によりばかけて作った!》


豪華なご飯が食べられることがわかり、一気に元気になるラー。


〔マジで⁉︎ やったーーー!久しぶりにいっぱいご飯が食べられる‼︎〕


「先輩の食事はカロリー管理をするために私が取り揃えるので、好きなものばかり食べられると思ったら大間違いですよ?」


〔いいじゃんか、今日くらい!いけず〜!〕


「今まで自重せず食べ続けた結果、糖尿病Ⅱ型予備軍までこじらせたのは誰でしたっけ?」


答えを待たずに振り向いた瞬間、当の本人は視線を合わせるなり電光石火で顔を背けた。


そう、先輩は糖尿病予備軍なのだ。


「これから薬漬け+無味食事の生活がしたいのなら、どうぞ遠慮なく食べてもらって構いませんよ。まぁその場合、私は一切治療しませんが。」


私はここぞとばかりに有利な立場を利用する。


〔うがぁーーーーー!こんなときに能力をちらつかせるのは卑怯だぞぉ‼︎〕


[しかし自分では治せない以上、従うしかないと思うのだが?]


結局、私の脅しとカスタのトドメの一撃を喰らった先輩は、みんなが幸せそうに心ゆくまで食べている姿を恨めしそうに見ているだけとなった。


…自業自得だから仕方がないよね☆


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る