第2話 神様の仕事ってなんだろう?

〔か〜え〜で〜さぁ〜ん、今日から早速管理の仕事を始めますよぉ〜。ふゎぁ〜。〕


ラー先輩はベッドから起き上がりながらいかにも眠たいですオーラを放ち、話しかけてきた。そんな先輩に


「もう私は始めてます。というかもう始業時間を2時間過ぎているんですけど…。」


〔し、しぎょうじかん...?ま、まぁ、そんなことばかり気にしていては直ぐにへばりますよぅ〜。〕


「先輩の朝の状態はどうでもいいのでさっさと仕事を始めてください。」


〔朝から先輩に対して辛辣っ⁉︎〕


若干涙目になっている先輩女神は放置して、私は昼食をとり始めた。


「あっ、先輩。昼食を食べ終わったら管理世界の視察に行きますよ。何か不穏な感じがしますので。出発に遅れたら置いて行きますよ。」


そう告げた瞬間...


〔うわぁーーーーーーーーーーん!〕


大号泣を始める先輩女神。というかこれ立場逆転してるんじゃ…


「じょーだんですから泣き止んでください!」


〔ほ、ほんと...?〕


幼稚園児か‼︎


「本当です! だから早く準備してくださいよ...」


〔やっぱり楓ちゃんは優しいですねぇ〜。私の泣きの演技にハマるほどですもんねぇ。〕


プチッ。ニヤニヤしながらそんなことをホザくラーを見た瞬間、置いていくことが決定し、さっさと転移してしまった---。



===



とある惑星の路端で…

ラーは怒られていた。


「…本当に反省しているんですか?」


〔ほんっとうに反省しています。もうしません...。だからもう許してぇ〜〜〜!〕



しばらくして楓の説教からようやく解放されたラーの顔は真っ赤に泣き腫らしていたが、そんなこと我関せずな楓は歩き始めており、急いでその後を追いかける。


〔それでこの世界のどこが神が干渉しなければいけないほどに悪いんですぅ?〕


「実はですね、この世界は本来の姿ならばそこら中に多様な生物が存在していたんだそうです。しかし800年ほど前から生態系バランスが崩れ始めたために今の状態になっているそうです。」


〔本当ですか?動物はおろか草の一本も見えないほどの不毛な土地にしか見えないんですが…〕


「この惑星がここまで疲弊している原因は...」


と言っているとだんだん何かの音が大きくなってきた。


「原因はこれですね」


〔いやぁ、流石にわかるよぉ。〕


崖下で大規模な戦争が繰り広げられていた。

攻撃が放たれるたびに地面が抉れ、植物や動物が吹き飛んでいた。


間も無く戦況に変化が生じ始めていた。様々な種族が組んだ多種族連合らしき軍勢が押されており、瓦解し始めたのだ。


〔こんな世界を本当に救済しようとするなんて...。そう遠くないうちに全て死に絶えそうだけどなぁ。〕


何気に結構きついことを言う先輩。しかし人間からの成り上がり女神の私からすると...


「やっぱり助けたいと思ってしまいます。だって今生きている者が悪だとしても、これからを生きる者たちに先人の業を押し付けてはならないですから。」


〔楓ちゃんらしい優しさだねぇ〜。まぁ、私も特にやることがあるわけじゃないからいいんだけどね。〕


「私らしいってなんですか、ウザいです…。」


そういって身を引く私。


〔褒めたのに返事が辛辣っ⁉︎そんな反応されると流石に傷つくなぁ〕


「まあそんなことは放っておいて」


〔いや、私にとって割と重要なんだけど...?〕


「と・に・か・く! 余り目立たない形でなんとかこの惑星を救済したいんですが…。何如せん私の能力は目立つものばかりなので...。」


〔あ〜なるほどね〜。う〜ん...。どうしましょうか?〕


そこで何ができるかを思案する私は、能力を試すことにした。そう、-博学-だ。


早速能力を使った結果、いくつかの選択肢が思い浮かんだ。


①ラー・ケミストの能力-豊穣-を遅延型で設定し毎年徐々に土地を蘇らせる。


②争い合っている両勢力の大将に掛け合い戦争を終わらせる。


③救済を諦めて帰る


〔はいはいは〜い!私は③がいいと思いま〜〜す‼︎〕


「却下」


〔そんなすぐに答えなくてもいいじゃないですかぁ。少しは考えて下さいよぉ〜!〕


「一考の余地も無し。」


〔…なんか楓ちゃん、神になってから私に対してより一層厳しくなってなぁい?〕


「マサカマサカ。ソンナコトナイデスヨー。」


〔自覚があるほどキツくなってるんじゃないですかー!〕


テキトーに返事をしながらもその選択肢について思案する。


「③の選択肢は論外にしても…」


〔そぉんなぁ〜〜〜‼︎〕


抗議の声を無視して考えを話し続ける。


「②は少し目立ち過ぎになる気がするんですよね。だからといって①だけをしても根本的な解決にはならないと思うんです。」


そうやって思考が袋小路になっていく。そのとき…


〔なら一層のことどっちもやっちゃえばいいじゃないですかぁ〜!〕



無責任な自由女神がまた何か言った…



===



結局どちらもやることになり、まずは戦争を止めるため連合軍の大将に会いにいくことにした。のだが…


〔全然場所が割り出せないんですけどぉ!なんかイライラしてきましたぁ!〕


どうやってかはわからないが高度な隠蔽技術か魔法を持っているらしくなかなか両大将を探し出せないでいた。異世界魔法侮ることなかれ...‼︎



---本当に専門分野以外はヘッポコな女神だった---


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る