全盲モグラ女子のほにゃららな日常

虹が空で曲がってる

　新緑の季節である。今のこのご時世、なかなか難しいかもしれないけど、こう暖かい日が続くと、ドライブや、小旅行に行きたくなる人も多いかもしれない。

　だからなのか、この時期は、疾走感のある曲が、無性に聞きたくなってしまう。

　フジファブリックの「虹」も、この時期に聞きたくなる曲の一つだ。

　♪週末雨上がって、虹が空で曲がってる♪

　と言うこの曲の歌い出しを聞くと、いつも思い出すことがある。

　私は先天性の全盲の視覚障碍者なので、言う間でもないが、虹と言う物を、生まれてから１度も見たことがない。だけど、触ったことならある。

　それは小学１年生の頃に読んだ、立体点図入りの点訳絵本の中だった。

　何の話かは忘れてしまったけれど、虹が出てくるシーンのページに、半丸のような形をした、曲がった７本の線が、点字で書かれているストーリーの下に、立体の点図で描かれていた。

(へえ、これが虹なんだー)

と、私はその時から、虹と言う物は、半丸のような７本のような線の形をしているのだと思っていた。

　しかし、実際の虹は、目で見る物なので、当然触ることはできない。虹って本当に、あの絵本で触ったような形をしているのだろうかと、何となくずっと疑問に思っていた。その曲を聞くまでは・・・。

♪週末雨上がって、虹が空で曲がってる♪

　あれから１０数年。ふとラジオから流れてきた、フジファブリックの「虹」を聞いた時、

(虹って、本当に曲がっているんだー！)

と、私は感動すら覚えるぐらい驚いた。

　自分の目で虹を見たことのない、点字絵本の点図でしか、虹の形を創造できなかった私に、フジファブリックの「虹」は、確かな虹の形を教えてくれたのだ。

　虹が空で曲がってる。そうあの時、点字絵本で触った、半丸のような、７本の線みたいに・・・。