全盲モグラ女子が、コロナ禍で思ったこと、感じたこと

 新型コロナウイルスの影響で、世の中が大変なことになっている。

 とは言うものの、普段からあまり外に出ない生活をしている私は、この自粛期間でも、生活への大きな影響はあまりない。自粛生活の中で、大変な思いをされている方たちに申し訳ないと思うぐらい、いつもと変わらない生活を送っている。

 それでも、テレビをつけても、ラジオをつけても、ネットを開いても、コロナ、コロナ、コロナである。不安を煽るような、不確かな情報ばかりが錯綜している。それらを毎日のように見聞きしていると、だんだん気が滅入ってくる。だから最近一人で家に居る時には、iPodに取りためている音楽を、ずっとシャッフル再生で流している。


 ところで私はハウスダストや、寒暖差など、様々なことや物にアレルギーを持っている。そのためちょっとでも気温が変わっただけで、、のどの調子が悪くなったり、鼻水が出たりする。またストレスや、不安や、緊張を感じたりすると、へんなからぜきが出たりもする。心療内科の主治医が言うには、これは心因性のせきらしい。

 いよいよコロナでたいへんなことになり出した、3月から4月ぐらいからだろうか。ノロウイルスや、インフルエンザなどが流行している時もそうなのだが、病気に関しては、いつも何かと気にしいな私は、このコロナでも、ちょっとでものどや鼻の調子が悪くなっただけで、

(もしかして、これコロナ?!)

と怯えてしまうようになった。

 そう言えば、3月の半ばぐらいのことだっただろうか。

 心療内科への定期通院を終えて、薬をもらいに薬局に入ったところ、外と中とのわずかな気温差に、軽くせき込んでしまった。すると、薬局の人から、

「コロナじゃないですよね」

と笑って心配されてしまったのだ。ちょっと気まずかったし、恥ずかしかった。

 そんな私のような人のために、「このせきは移りません」と言うようなことを、周りに表明するためのバッヂが人気なのだと言う。私もたまに外出する時は、そのバッヂを付けた方がいいのかなあと思ったけれど、それもそれでなんか恥ずかしくて嫌だなあ。

 また最近は、ネット関係の友人たちから、ズームミーティングに誘われることが多くなった。その誘いに乗って、私もいろんなズームミーティングに参加しているのだけれど、オンラインとは言え、初めてお会いする人と話すのは、とても緊張するせいか、ミーティング中どうしても心因性のからぜきが出てしまうのだ。その度に、

「あのすみません、へんなせきしてますけど、このせきは移るせきではないので。今話題のやつではないので・・・」

と、いつも申し訳なく弁解しなければならないのは、地味に辛い。このご時世、せき症状を持っている人に取っては、肩身が狭いなあとつくづく感じる。


 それにしても、この新型コロナウイルスの1番残酷なところは、このウイルスで無くなった人との、最後のお別れができないことだと思う。

 いくら感染拡大を防ぐためとは言え、遺体にも会わせてもらえないし、霊柩車で家の前も通ってもらえないし、葬式さえもあげさせてくれないと言う。最後の姿は、すでに骨壺の中に収められてしまっている骨だなんて・・・。

 ちょっと創造してみてほしい。これがもし親しい友人や知人だったら、愛しい恋人や配偶者だったら、兄弟や両親だったら・・・。と、そう思うと、胸が張り裂けそうなくらい、辛いし悲しいよね。

 自分がそのような思いをしないためにも、誰かにそのような思いをさせなも、これ以上感染者を増やさないように、今できる我慢や、努力や、工夫を、少しづつでもしていかないといけないのかもしれないと、全盲モグラ女子は強く思うのであった。


 そんなことを書いている現在、緊急事態宣言が、ようやく全面的に解除されたようだ。

 だからと言うわけではないが、昨夜友人と、某牛丼チェーン店に入って、帰りにお金を払おうとした時、店員さんにお金を渡すのではなく、機械にお金を投入するシステムになっていたことに、とても驚いたし戸惑った。これも店員さんやお客さんが、お金や人の手に触れることで、感染のリスクを減らすために導入されたシステムなのだろう。

 今のこのご時世、それも仕方ないのかもしれないけど、それでも手渡しの方が、安心感があって良いなあと思ってしまうのは、私が機械音痴だからだろうか。このシステムに慣れるまでには、まだもう少し時間がかかりそうである。

 と、こんな風に、コロナの影響で、きっとこれからの世の中は、いろんな方面でのいろんなことが、少しづつ変わっていくのかもしれない。そんな気がしている。それら全てが良い方向に向かえばいいんだけど・・・。

 それに今回、緊急事態宣言が解除されたとは言え、再び流行の第2波や3波が来そうな気がして、個人的にはそれも怖いんだよなあ。コロナウイルスへの格闘と、終息の道は、まだまだ続きそうである。

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