※過去エッセイ※ピアスとタトゥーシールとキノコ
昨夜は私と同じく全盲のツイキャス仲間の配信で、コラボに上がらせてもらったのだけれど、とてもおもしろかった。
どこからそう言う話題になったのかは忘れたけれど、ピアスやタトゥーの話でたいへん盛り上がった。
じつは私も学生の頃、金原ひとみさんの小説「蛇にピアス」を読んで、自分もピアスを開けたり、タトゥーシールを張ってみたいなあと、強く憧れていた時期があった。
でもよくよく考えてみると、ピアスを開けるには、当然耳に穴を開けなければならないので、その行為が痛そうだし、開けた後もいろいろとやらなければならないことがあるらしいと知って、ピアスはすぐに諦めた。やはり痛みとめんどくささにはかなわない。
それに我々のような全盲者にとって、耳はとっても重要な機関だから、ピアスを開けたことで、もし万が一聞こえに影響が出てしまうのもまずいだろう。
それにしても、ピアスって耳だけではなく、鼻とか、舌とか、へそとか、あそこ(ご想像にお任せします)とかにも開けている人が居ると聞いた。耳や鼻なら周りからも気づいてもらえるだろうからまだ良いとしても、舌やへそやあそこ(だからどこだよ?)にピアスを開けたところで、誰も見てくれないんじゃないかと(せいぜい恋人ぐらい?)、そんな気がするのだが・・・。うーむ、晴眼者は不思議な生き物である。
だけど、タトゥーシールだったら張ってみてもいいかなあと今も思っている。だってかっこいいじゃん。ロック好きなので、かっこいいと思うことには何でも憧れてしまうのだ。
ではなぜタトゥーじゃなくて、タトゥーシールなのか。それはタトゥーを入れるのも痛そうだからである。
でもタトゥーシールだったら、肌に直接張るだけだから痛くなさそうだし、ちょっとしたおしゃれにもなるだろう。それにタトゥーシールをつけて外出することで、痴漢や横入りなどの心無い人間たちからの被害からも身を守ることもできそうだし・・・。
でも最近タトゥーシールをあまり見かけなくなったような気がする。もしもどこかで売っていたら、どんなタトゥーシールにしようかなあ。蝶とか、竜とか・・・。うーん、いろいろ考えてしまう。
そんな話から、ツイキャス仲間でもあるこの配信の主(ホスト)が、このほど白杖(はくじょう)のローラーチップを新しい物に変えてきたと言う話になった。
ローラーチップとは、簡単に言うと、杖が地面につく部分の石突の一種と言うところだろうか。
ちなみに私の白杖も、ローラーチップを使っている。これを使うと、わずかな段差や、点字ブロックと地面の境目が分かりやすかったり、側溝のふたの溝に、杖の先がはまることも少なくなるので、人によってはかなり便利な場合があるのだ。
それで、このローラーチップはキノコのような形をしているんだと、私が視覚障碍者ではない他のコラボ者や、コメントを入れてくれている人や、配信を聞いてくれている人たちに説明したところ、皆さん「キノコ」と言う言葉に、異様な反応を示したのだ。
この配信が行われていたのは夜の9時過ぎ。そろそろそう言う話をしても良さそうな、いやまだ早いかなあと言うような微妙な時間だったこともあり、皆さんそっち系の想像力が働いてしまったのだろう。コラボ者たちも、コメント組も、しばらくの間「キノコ」と言う言葉にかなりざわついていた。それはもうツイキャス運営からバン(アカウント停止)されるんじゃないかと、こっちがひやひやするほどだった。
それでも言い出しっぺの私としては、「キノコ」と聞いて、絶対誰かそっち系の話に持っていくやつが居そうだなあと、何となく予想はしていたので、それほど驚かなかった。それにあのローラーチップの形を「キノコ」以外に表現できる言葉が見つからないと言うのも事実だ。そんな中でただ一人、枠主だけが、このあだるてぃーな流れに動揺している様子だったが・・・。
そうなのだ、私たち視覚障碍者は、白杖の先に「キノコ」をつけて歩いているのだ。そう思えば、白杖を持って外出することも、ちょっとはおもしろくなるだろうか。いやならないか。
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