武装集団

 微かながらも銃声が聞こえてきたので、黒崎達は一旦進みを止めた。


 ハイキングコースにいたが、銃声はそれよりかなり下の方から聞こえた。


 黒崎はすぐに部下三人を選出し、偵察に行かせる。


 暗視ゴーグルをした三人が、音もなく下って行った。


 「連中とMが争っているのかもしれません」


 宇野が言った。もはや、黒崎の行動に異議を唱える気はないようだ。諦めたのだろう。


 「ならいいが、規模が小さい」


 応える黒崎。Mは相当な戦闘能力を持っていると予測された。さっきの音は、拳銃一丁のみだし、すぐに終わった。


 暫く待っていると、偵察の部下から連絡があった。


 「若い男女が二人ずつ、計四名、南に向かっています」


 「沢崎は?」


 「いません。四人とも一般人かと思われます」


 分裂したか? 黒崎は思案した。別れて行動しているとすると厄介だ。


 「どうします?」部下が訊いてくる。


 「始末しろ」あっさりと言い放つ。「我々は先に進む。処理が終わったらすぐに合流しろ。万が一、その四人以外の者がいる場合は連絡しろ」


 「了解」


 再度動き出してすぐに、目の前が開けた。


 建物が聳えていた。元博物館に違いない。


 警戒しながら近づくが、誰もいないようだった。それどころか、半分破壊されかかっている。火薬の匂いが漂ってもいた。


 これは……? 


 宇野が怪訝な表情で黒崎を見た。


 おそらく戦闘が行われた。途中で手榴弾の音などが聞こえてくることがあったが、それはここでだったのだろう。


 「調べろ」


 黒崎の命令で、部下達は用心しながら建物に向かった。

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