絵里香達 飛田 佐久間
Mの目が、赤く輝いては消える。そうしながら、だんだん輝きを増していく。
楽しんでいる――絵里香はそう感じた。
Mは人を襲うこと、喰らうことに快感を覚えている。これは、未知の生き物というような生やさしい存在ではない。紛れもない怪物だ。
飛田が慌てて笛を口にした。
絵里香は咄嗟に動いた。以前バレエをやっていたので足は高く上がる。思い切り、飛田の顎を蹴り上げた。
「――!」
その場の全員が目を見開いて驚いた。
それに構わず、絵里香は飛田が取り落とした笛を拾い上げる。
「何やってんだ?」
慌てふためく佐久間。
絵里香は、無表情なまま彼の右足を銃で撃った。
「ぐわぁっ」足を押さえて蹲る佐久間。
絵里香は次に、顎をさすりながら起き上がってきた飛田を、Mが登ってくる斜面に向かって思い切り突き飛ばす。
「うわあぁぁ」大声で叫びながら、飛田が転がっていく。
その先には、Mがいる。
Mの目が一際大きく、そして赤く輝いた。
「行こう」
絵里香は大久保に笛を一つ渡すと、先頭に立って走り出す。
「絵里香ちゃん、凄い」梨沙が言った。
後ろを確かめる絵里香。Mは追っては来ない。だが、念のために笛を吹いた。
「ぎゃあぁぁぁー」という飛田の叫び声を背中で聞いた。
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