道の駅周辺 武装集団

 チィッ! 黒崎は舌打ちする。しかし、胸の奥では微笑んでいた。


 バンは一旦バイパスまで下がった。


 やるじゃないか、連中は。こちらが敵の動きを読み間違え、分署を攻撃するという失敗を犯したとはいえ、これほど手こずるとは思わなかった。


 田沼を見ると、怒りの表情はずっと張り付いたままだった。だが、黒崎にはわかる。田沼も興奮している。そして、心の奥では喜んでいるのだ、この状況を――。


 「田沼」鋭く命令した。「5人連れて裏の森へまわり込み待機しろ。我々で追い立てる。連中は必ず山へ逃げるはずだ。そこで殲滅しろ」


 「はっ!」大げさに声を上げると、早速準備を始める田沼。


 その背中に向かって更に黒崎は言った。「今から15分経っても連中が林に向かわなかったら、裏から攻撃を開始しろ。挟み撃ちにする」


 宇野は険しい表情をしていたが、文句を言うことはなかった。


 去っていく田沼の背中から熱気が立ちのぼっているように思われた。


 初めてなのだ、こんな派手な戦闘は――。


 田沼にしても黒崎にしても、暗殺の経験はあるが、これほど本格的な戦闘を行ったことはなかった。やっと、本当の意味での実戦を行っているのだ。


 沢崎、東谷、そして未知の敵? いいだろう、とことんやろう――。


 黒崎は、誰にも悟られないようにあらぬ方を向きながら、満面の笑みを浮かべていた。

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