道の駅周辺 東谷 沢崎
突然、何かが爆発する音が響く。
「分署に手榴弾が投げ込まれた」木戸が確認して言った。
「後を頼みます」
言い残し、東谷は裏に出た。沢崎が続く。
外に出た途端、東谷は側に置いてあった調理食材用のかごを思い切り林に向かって投げる。
かごは枝葉を揺らし、木に当たって音を響かせる。
それにつられて銃撃してくることはなかった。だが、微かだが空気が動く。それを見逃す2人ではない。
東谷と沢崎は、別々の方向へ小銃を短く撃った。
敵の1人が呻き声をあげて倒れた。
思ったより明るくなっている。すっかり晴れて、月明かりが届き始めた。複数の人間が後退していくのが見えた。
東谷は素早く確認する。あと4人だ。
銃声が響き、2人の目の前の地面が爆ぜる。転がりながら、それぞれ側の木に身を隠した。沢崎がサーチライトを取り出し、灯りをつけた瞬間に放り投げる。
敵の銃撃がきたが、それはこちらに位置を教えてくれる。
沢崎は冷静に銃を扱い、たちまち1人を倒した。
敵は浮き足だっている。残りの3人、慌ただしく林の中を動いていた。能力は高そうだ。だが、経験が足りないように感じられた。
東谷は勢いよく躍り出ると、体制を整えようとした敵のうち1人を撃ち倒す。残る2人が退却を始めた。分署の方に向かっている。
後を追おうと沢崎を見ると、倒れた敵の装備をまさぐっていた。
「いい物があった」
そう言うと、沢崎は何かを放ってくる。野球ボールより小さいそれは、手榴弾だった。
「2つずつだ」もう1つ放ってくる沢崎。そしてニヤリとし「さあ、行こう」と襲撃されている分署に向かった。
東谷は、本来敵である男に昔の同僚と同様の、いや、それ以上の心強さを感じていることに気づき、微かに首を振った。
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