神奈川県警足柄警察署天童分署 警官達

 「妙だな」


 牧田は何度トライしても雑音しか返ってこない無線機を睨みつけながら言った。


 「スマホも通常の回線電話も通じません。それどころか、警電も不通になっています」


 いつもはどちらかというと呑気な藤間も、青ざめた表情で言った。


 今、この分署はどこにも連絡がとれなくなっている。


 牧田が窓によって行き、外を眺める。確かに荒れた天気だ。だが、台風ほどではない。以前台風の直撃を受けたときも、こんな事にはならなかった。


 「ただごとじゃあないですよ、これは。誰かが人為的に通信を絶っているとしか思えない。まさか、護送と何か関係あるんじゃあ?」


 加藤が立ち上がりながら言った。彼の表情も強張っている。


 牧田は何も応えられず、再び窓の外を見た。


 もうじき、あの沢崎をはじめとした凶悪犯達が六人もここにやって来る。


 道の駅の方を見た。そこに何人かの民間人がいることを、今更ながら思い出した。


 何事も起こらなければいいが……。

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