第22話 天文台

 列車を降りてホームを出ると、車はまた大きな改札を通過した。


 改札を出ると、そこは駅の外だった。


 そこには天井の高い広々とした空間があり、駅前ロータリーのようになっていた。

 細長いバス停が8本並び、それぞれに行き先が大きく表示されている。

 そのロータリーを囲むようにショーウインドウらしきガラス張りの店が並んでいたが、店の電気は消えていた。ショーウィンドウのガラスの向こうは真っ暗だった。


「ここは街か?」


 パトロールがいたら、また隠れないといけないんだろうか。駅前交番もあって不思議はない雰囲気だ、そう思って聞いてみた。


「ここは軍の敷地ですので、警察はいません。安心してください」プロメが答えてくれた。


 ロータリーの先には大きなメイン通りがあり、一直線に高い天井と、その下に広い道路が続いていた。片側3車線ある道路は地球より広く感じたが、一番端の車線に路駐の車が1台も停まっていないからそう感じるだけなのかもしれない。


 メイン通りには大きな謎のビルが左右にあって、歩道に面した1階は店舗になっているようだった。色あせているが様々な看板が壁に掛かっていた。そして遠くまで50メートル置きぐらいに交差点が続いていた。

 交差点の上には青い大きな案内表示板があった。そこには白く左右の矢印と、その上に行き先がトラン語で大きく描かれていた。


 車はその通りを真っすぐに進んだ。

 交差点で左右を見ると、どこかに続くトンネルが見えた。


「ここは夜側のほぼ中心です。」プロメが言った。「この辺は全て軍事施設ですが、賑わっていた時代は、ここは買い物に来る軍人で溢れていました」

「このトンネルは、みんなどこかの基地に続いてるのか?」

「大体はそうです。このトンネルを通って休みの日などにここまで買い物に来ていました」


「今は軍人もみんな仮想空間に行っちゃってるのか?」

「大多数はそうでが、数百人がまだ職務を全うしています」

「それが全員女性?」

「そうです」


「少佐は前に、DNAの強い改変は受けていないって言ってなかったか?」

「そうだ、軍人は人を殺せないと仕事にならないからな」

「男もか?」

「男も攻撃性を残してあった」


「男は起きてる管理者に志願しなかったのか?」

「軍人の男はな、仮想世界のゲームに真っ先にハマった。ジルコンが作り出す仮想世界に行ったまま戻ってこない」

「DNAを変えても変えなくても、男はダメなのか」

「男は心が弱いからな」

「そうか・・・」


 車は駅前大通りをしばらく進み、左に曲がって小さなトンネルに入った。車はその一直線に伸びるトンネルをしばらく走った。


「このトンネルはどこに行くんだ?」

「私の研究室です」プロメが答えた。

「プロメのいた所って、大きな天文台だって言ってなかったか?」


 天文台と言えば高い山の上にありそうなイメージだ。さっきのプラネタリウムもちょっとした山の上だった。星がよく見えた。


「これから地上に出て山を登るのか?」

「この辺は氷の世界です。雪はほとんど降りませんが、溶けませんので分厚い雪と氷が地上を覆っています。普通の車は走れません」


「山の上じゃないのか?」

「いいえ、山の上です」プロメが前方を指して言った。「着きました」


 車の前にオレンジの扉のエレベーターがあった。


 そんなに大きくない扉だったが、車ごと乗れるエレベーターだった。小さなエレベーターホールのような空間があり、オレンジのライトがエレベーターのドアを照らしていた。


 車が近づくとドアが開き、車はバックでその中に入った。

 静かにドアが閉まり、エレベーターは上昇を開始した。


 エレベーターは長い間上昇を続け、俺は何回か唾を飲み込んだ。その度に耳の中で大きな音がした。


「かなり高い山なのか?」

「かなり高いです」

「標高何メートルぐらいだ?」

「知りたいですか?」

「俺の伸長を179センチと仮定して変換するか?」


「いいえ、ネットを信頼して、地球と太陽との距離が1億5千万キロメートルと仮定し計算します」

「ちょっと何言ってるか分からない」


「今登っている山の標高は、海抜で約1万6千メートルです」

「おいおい、1万6千って、エベレストが8千8百だぞ・・・」

「そうですね」


「空気無いだろ?」

「このエレベーターも上の天文台も、密閉して加圧してあります」

「気圧が変わっていってる気がするが・・・」

「地下と同じとはいきません」


「天文台は、建物の外には出ちゃいけないのか?」

「出ないほうが賢明です」

「わかった・・・」


 エレベーターが停止し、ドアが静かに開いた。

 そこは薄暗い地下駐車場のような場所で、車が20台ぐらい停められる薄暗いスペースがあった。青と灰色の迷彩の大きな軍用ジープと、小さな軍用ジープと、テルルと俺が旅したのと同じ車種の大きな黒い車が停まっていた。この救急車と同じ車種だ。


 俺たちは空いているスペースに車を停めた。


 車の外に出ると、駐車場はひんやりと寒かった。


 どこかで暖房の機械が動いているのだろう。本来ならば寒さはこんなものではないはずだ。

 地球で高度1万6千メートルと言ったら、生身で生きていられない世界のはずだ。

 そういえばプロメが加圧していると言ってた。地下からポンプで空気を吸い上げているのかもしれない。


「少しだけここに滞在します。空き部屋ばかりなので、自由に使ってもらって構いません」

「ベッドで寝られる?」

「もちろんです」

「シャワーもある?」

「もちろんです」

「やったー!」テルルの声が駐車場に響いた。


 俺たちは車から荷物を下ろし、プロメに続いて駐車場の横にあった細い階段を上った。


 階段の上には木の扉があった。扉を開けると、そこは暖かい生活空間になっていた。


 長い間使われていなさそうなキッチンがあり、大きめのダイニングテーブルとイスがあり、大きな冷蔵庫があった。

 壁には写真や小物が飾られ、生活の匂いが残っていた。

 この天文台で働くメンバーが肉体を持っていた頃は、ここが生活の基盤だったのだろう。ゆっくりとくつろげそうな大きなソファーもあった。


 その広めのダイニングキッチンの左右には長い通路があり、プロメは左側の通路に俺たちを案内した。

 廊下の左側にはドアが10ほど並び、プロメは手前から4つの扉を乱暴にバン、バン、バン、バン、と開いた。


「ご自由にどうぞ」


 中は使っていない小さめの部屋だった。ベッドの上には毛布と布団が畳んで置いてあった。


「トイレとシャワーは廊下の突き当たりです。私の部屋は108です」プロメが廊下の奥を指さした。「みなさんシャワーを浴びてください。同時に4人まで入れますのでトミサワさんは最後でお願いします」


「了解だ」


 俺は1番手前の小部屋に入り、荷物を置いた。

 部屋には丸い小さな窓があった。小さい窓は、船の窓のように頑丈そうな黒いゴムで固定されていた。加圧の問題なのだろう。窓の外は真っ暗で何も見えなかった。遠くに星が見えたが、ガラスが汚れていて良くは見えなかった。


 俺はバッグから着替えを取り出し、それを持ってダイニングのテーブルに行き、イスに座って女性陣のシャワーが終わるのを待った。



 壁には写真が沢山貼られていて、俺はその写真を眺めて時間を潰した。

 写真には多くの髪の赤いトラン人が笑顔で写っていた。この天文台の昔の研究者だろう。この部屋で写したものや、何かの発表会のような、正装をしたものもあった。 


「ニホンジンカ?」


 足元に黒いフィギュアがいた。


「うお!!」


 俺は完全に気を抜いていた。この建物には俺たちしか居ないと思い込んでいた。

 いきなりのご登場に心臓が止まりそうになった。


「こ、こんにちは」

「コンニチハ」


「ここの人?」

「ソウダ」


「えっと、プロメは今、シャワー浴びてます」

「シャワー!!」

「はい・・・」


「プロメはタンパク質の体にモドレタノカ」

「タンパク質?」


「タンパク質とカルシウムと水と・・・リント鉄ト」

「ああ、えっと、肉の体に戻りました」

「ソウカソウカ」


 ガチャリと廊下の向こうで音がして、女性陣がシャワーから出てきた。

 みんな楽な格好に着替えている。少佐の後ろにプロメが見えたから黒いのに教えようと下を見ると、黒いのは居なくなっていた。

 俺は黒いのを探してキョロキョロと部屋を見まわし、机の下をのぞき込んだ。


「どうしたの?」テルルが聞いてきた。

「あれ?」

「なんなの?」

「いや、黒いのが今・・・」

「黒いのって何よ」

「鉄の体の・・・」


「ここって誰かいるの?」

 テルルがプロメに聞いた。

「いる」

「教えといてよ」

「上の研究室から出てこないと思ってた」

「どっか行ったけど、今1人来たぜ」


 俺はもう1回テーブルの下を覗き込んだ。黒いのはいなかった。


「いいからシャワー浴びて来い!」マリーに叱られた。


 俺は素直にシャワーを浴びた。

 この星には風呂は無いんだろうか、温泉とか無いんだろうか、あとで聞いてみよう。そんなことを考えながらシャワーを浴びていると・・・


「男ノ地球人ダナ」


 天井の換気用の格子のフタが開き、黒いのが逆さまに頭を出していた。


「見るな」

「減るモノデハナイ」

「何か用か?」

「実験ダ、男ノ裸ヲ見テ、ドキドキするかノナ」

「ドキドキしたかよ」

「ダメダナ、股間、見テモ、ドキドキシナイ」

「そりゃ残念だ」

「残念ダ、早ク出ロ、ミンナ、待ッテル」


バタン!天井のフタが閉まり、黒いのは消えた。


 俺はゆっくりシャワーを浴び、ゆっくり出た。


 ダイニングに戻ると、テーブルの上に黒いのが3人いた。テーブルを囲むイスに女性陣が座り、トラン語で盛り上がっていた。


 俺が出てきたのに気づいてテルルが手招きした。


「シャワー覗かれてたわよ」

「知ってる。話したし」


「男ノ体ニドキドキしないノカ、地球人ダカラドキドキしないノカ」


 黒いのの1人がテーブルの上で首を傾げた。


「その体は性別が無いからな」マリーがテーブルの上の3人を見ながら言った。「ドキドキするって現象は、脳ではなく体に付随する現象なんだ」


「モウ、ドキドキハ、トリモドセナイノカ」


「すまない」マリーが頭を下げた。


「アヤマル必要ナイ」


「私とプロメが作った体だ。責任は感じている」


 テーブルの上に黒いのが3人並んで話していたが、誰が誰なのかまったく判別できなかった。


「アナタ達ノセイデハナイ、ソレニ、感謝シテイル」

「天文学者トシテ、コノ体ハ、サイコー」

「そう言ってもらうと助かる」

「なんで天文学者だとサイコーなんだ?」


「宇宙のタームスケールト、人ノ体ノタイムスケールは違いスギル」

「コノ体ナラ、少しハ長ク観測デキル」


「少しは長くって、永遠の体じゃないのか?」前に死なないって聞いた気がする。


「おそらく、私たちの銀河が1周するぐらいの時間です」開発者のプロメが答えた。


「銀河が1周?」

「銀河もまわってます」

「1周って何年で1周する?」

「地球の年に直すと、2億年ぐらいですね」

「2億年・・・」


「ゼンゼン足リナイ、100億年、ホシイ」

「そのうち方法を思いつくかもしれません。2億年時間があれば」

 プロメが立ち上がって棚の引き出しからリボンを3色取り出して、彼ら3人の腰に巻いた。赤、青、緑のリボンだった。


「すみません、体内にモコソが無いので判別が難しくなりました」


 モコソゴーグルで見ると判別できるらしいが、今は風呂上がりで俺とテルルとマリーはモコソを外していた。プロメと少佐は机の上に大きな帽子を置いていた。


 俺の部屋は1番手前だ。俺は立ち上がってモコソを付けて戻った。3人の上に名前が表示されていた。


「色で呼ンデイイ、名前ナンテ、何デモイイ」緑が言った。

「モット大切なモノが、アルカラナ」赤が言った。

「ミンナ、ユックリ、スルトイイ」青が言った。



 少佐が帽子を頭に乗せて立ち上がった。

「みんな、お任せでいいか?」

 少佐はキッチンの横にある小さなボロンを操作して、5人分の料理を出した。プロメがテーブルまで運んでくれた。

 俺たちは久しぶりの暖かい料理を食べた。


「食べたら眠りましょう。ここのボロンは好きに使ってください」

「スカッシウムはあそこな」

 少佐が部屋の片隅を指さした。ゴミ箱の事だ。


 食事が始まると、小さな体の3人はどこかに消えた。

 食欲を捨てた体だと、他人が食事しているのを見るのは複雑な気持ちなのかもしれない。



「料理を作ったりはしないのか?」

 俺は暖かい料理を食べながら隣のテルルに聞いてみた。

「うーん、食材をボロンで出して調理することは可能だけど、上手な料理人の、熱々の出来立て料理が出てくるのに、自分で調理する意味ってあるのかしら」

「そうか」

「どうしても手料理が食べたいって言うなら作るけど、あまり美味しくないわよ」

「うん、無理しなくていい・・・」


 料理は愛情って言葉があるけど、俺は昔からその言葉を信じていなかった。料理は愛情では美味しくならない。経験則だ。


 俺たちは食事が終わると、各自の部屋で休んだ。

 プラネタリウム以来の眠りだった。プラネタリウムは緊張感があったし、途中で叩き起こされた。

 ベッドで寝るのは、病院のベッド以来だ。スキャン前の38時間はベッドでドラマを見ながらゴロゴロ過ごしたのを思い出した。


 ずいぶんと遠くに来たらしい。ここは夜の側の真ん中あたりらしい。


 あのマリーがいた病院は太陽が沈むギリギリだったから、惑星上の昼と夜の境目ぐらいだ。

 ここが夜の中心ってことは惑星を4分の1移動したって事だ。


 俺は地球の世界地図を頭の中に思い描いたが、日本から4分の1移動した所がどこなのか、良く分からなかった。ブラジルが反対側だったと思うから、ハワイか、距離で言えばオーストラリア、は近すぎるか、ニュージーランドあたりか。西側だったらヨーロッパよりも少し手前・・・中東あたりかもしれない。やっぱり良く分からないな・・・誰も正解を教えてくれないしな。 そんなことを考えているといつのまにか眠ってしまった。




 部屋の外、ドアの向こうからガタガタと生活音が聞こえてきて俺は起きた。


 すごい眠った気がした。

 ボサボサの頭で部屋の外に出ると、パンの香ばしい匂いがした。

 ダイニングテーブルの上には香ばしい匂いの発生源、焼いたロールパンが山積みになっていて、キッチンでテルルがフライパンを使い何かを作っていた。


「おはよう」テルルの後ろ姿に声をかけた。


「あー、出来上がったら起こそうと思ってたのに」

 テルルが振り向いて言った。テルルは卵焼きを焼いていた。

「着替えてきて。手料理という物を食べてガッカリするといいわ」

「がっかりはしない。有難く食べる」


 俺は部屋に戻り、着替えてダイニングに戻った。


 テーブルの上には2人分の、卵焼きと目玉焼きとウインナーがキャベツみたいなレタスみたいな大きな葉っぱの上に乗せられていた。


「地球と違ってトランには朝食というものが無いの。これは地球の朝食のマネ」

「そうか」葉っぱの皿は何を見たのだろうか。「他の人の分は?」


「私の適当な料理を他の人に食べさせるのは申し訳ないし」

「俺のために作ってくれたのか」

「そうよ。まあ、実験のウチね」

「ありがとう」


「卵は塩、パンはサアラムイって果物のジャム」

 テルルは机の上に、塩の入った瓶と、赤いジャムとスプーンを置いた。


 俺はパンを取ってジャムを付けて食べた。ジャムはいちごジャムの味がした。卵とウインナーは地球と変わらない味がした。


「悪くはないけど、特別美味しくもないわね」テルルが食べながら言った。

「いや、うまいよ」

「普通よ」

「普通にうまいよ」


「あのね、褒めるとまた作りたくなるじゃない」

「料理はキライなのか?」

「別に好きじゃないわね」


 確かに俺も料理は別に好きじゃない。一人暮らしが長いから作るが、好きで作ってるわけじゃない。

 うまい料理が無料で出てくるなら、必要ない作業だ。


「この卵もウインナーもパンも、地球と同じ味だ」

「そりゃそうよね、鳥の卵も草食動物の肉も小麦粉もイースト菌も、たぶん地球と同じよ」

「鶏がいるのか?」

「DNAの比較は出来ないけど、似てる鳥よ。あとウインナーもブタに似てる丸っこい草食動物の肉から出来てるわね」

「ブタもいるのか」

「バテとゴーチっていう、ブタに似てるのと牛に似てるのが食用に飼育されてた」


「まだ農業してる人がいるのか?」

「いいえ、これはボロンで出したの。それを焼いたの」

「そうか、素材もボロンで作れるんだったな」


「前にも話したけど、動物愛護とか自然保護とか、動植物に手を出すことは違法になったのよ」

「そうだったな」

「地球のそういう人たちもね、今はまだいいけど、そのうちトランみたいになるわよ」

「そうかもな」


 キッチンでくつろいでいると、少佐とマリーが起きてきた。

 2人はボロンで好きな料理を出し、がっつりと食べた。


 最後にプロメが起きてきた。

 プロメは2人よりも多くの量の料理をボロンで出し、パクパクと静かに食べた。小柄な大食いチャンピオンみたいな食べ方だった。



 かなりダイニングでバタバタ音を立てていたが、昨日の小さな3人は出てこなかった。研究に没頭してるのかもしれない。


「昨日の3人は、金属の体が最高だって言ってたけど、あの体から肉体に戻るのは、俺があの禁止されている操作をすれば戻れるのか?」

「いや、私たちはフラッシウムでスキャンして体のデータを残したって言っただろ。元の体のデータがないと作れないんだ」

 マリーは話しながら、食べきった料理の皿をスカッシウムに入れた。


 プロメも大量の料理をたいらげ、皿をスカッシウムに入れた。

 スカッシウムはゴミ箱のフタが付いていて、開けるとただのゴミ箱のように空間があるだけだが、フタを閉めてまた開けると中には何も残っていない。不思議なゴミ箱だ。


「私が開発したフラッシウムとスカッシウムとボロンという3点セットを一般に公開してから、プロメリという重金属合金のスキャンガードを体に流すまでは、ほんの短い期間でした」


「あのコピー事件が起こるまでの期間ね」


「その短い期間に、私みたいに体のコピーに気が付いて、自分の体をフラッシウムでスキャンしてデータを保存した人間は、ほとんどいないはずだ」


「なるほどな」


 プロメが言う。

「私が思いつかなければ・・・。私がプロメリという金属を体に流す方法を思いつかなければ、今のプロメリの体に進む道は開かれなかった。私が全てのきっかけを作ったのです」


「いや、プロメだけのせいじゃない。体内のプロメリを自由に操れるようにDNAを変えていったのは私だ。私に責任がある」


「全員プロメリの体にせよという命令が出て、自分の体がプロメリの体になった時、これは失敗だと解りました」


「そうだな、完全に失敗だった」マリーが下を向いて言った。




 

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