第12話

「恋に破れた人魚姫よ……」泣いているのか、それとも寒いのか、彼女の声が小刻みに震えた。


「こ、恋に……」なるほど失恋か……


「ええ……、もうお仕舞い…… 海へ帰って泡となって消えたかった……」


「そ、そんな…… 死んじゃダメだよ」

 全く気の効いた科白セリフが言えない。


 不意に、彼女は僕に抱きついた。

「あ……😳💦💦💦」


「一平……、キツく抱きしめて……」


「え……、あ、ハイ……」彼女に命じられ僕は柔らかな身体をしっかりと抱きしめた。

 何て温かいんだろう。


 汐の薫りがした。


 一気に胸がたかまり、全身が熱く火照ほてってきた。


 彼女が大きな瞳をじた。


 これッて……

『ゴックン……』思わず生唾を飲んだ。

 キスしても良いんだよな……


 心臓が早鐘のように胸を叩いた。


 ゆっくりと僕は彼女の唇へ顔を近づけていった。

 


 

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