第11話 アメリカ

「アイキャンノットスピークイングリッシュ!?」

 那覇は少年野球世界大会に出場するために野球の本場アメリカにやって来た。外国人に話しかけられても那覇は何も言えなかった。

「早く日本に帰りたいよ。」

 那覇は野球をするために、アメリカなんかに行きたくなかった。

(ついに来たぞ! メジャーリーグ! 俺をアメリカが呼んでいる! 俺の剛速球で度肝を抜いてやる! ワッハッハー!)

 俺は野球の本場アメリカにやって来てテンションMAX。

「痛い!?」

 その時、那覇は道を歩く外国人にぶっかって吹き飛ばされた。

「邪魔だな。前を向いて歩けよ。」

(なんだと!? てめえ!? 誰に向かって口を聞いているんだ!?)

 文句を言ったのは俺。

「すいません! すいません! ごめんなさい! 許してください!」

 俺の体の那覇は外国人に全力で謝っていた。

「うん? それは野球のボールか?」

 吹き飛ばされて俺の荷物からボールが出たのを見られた。

「おまえ、野球をやっているのか?」

「う、うん。」

「ワッハッハー!」

 突然、外国人は笑い出した。

「おまえみたいな弱そうな奴が野球をやっているのか? 日本の野球は大したことがないんだな。やっぱり野球はアメリカだよ! さらばだ! ワッハッハー!」

 とても外国人は失礼な態度で去って行った。

「すいません。すいません。ごめんなさい。許してください。」

 那覇は英語も分からないので謝ることしかできなかった。

「おい、那覇。」

「はい。」

「今のはメジャーリーガーのニューヨーク・ヤンキーズのタイガー選手だぞ!」

「ええー!?」

 那覇は西表先輩の憧れていたメジャーリーガーのタイガー選手に出会った。

「あんなのがメジャーリーガー・・・・・・。」

 日本でも野球がうまいだけで性格が悪い選手たちに呼び出されてボコボコにされそうになった那覇は超一流のメジャーリーガーといわれるタイガー選手の態度にガッカリした。

(クソッ!? あれがタイガーだったのか!? サイン貰って、吹き飛ばされた慰謝料を請求すれば良かったぜ!?)

 少し価値観がズレている俺。

(クソッ! 見てろよ! タイガー! 俺の投球でアメリカ打線をキリキリ舞にしてやるぞ! そして少年野球世界大会で優勝するんだ!)

 俺は堂々と優勝宣言をする。

 つづく。

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