第10話 出発
「自由の女神のクッキーを買ってきてね。」
アメリカの少年野球大会の世界大会に出発する前に学校に行った日のことだった。
「安室ちゃん、おまえもか。」
僕は幼馴染の安室奈美と会っていた。アメリカに行くことを告げるとアメリカのお土産を頼まれた。嫌々アメリカに野球しに行く僕は素直にお土産を買ってあげる気にはならなかった。
「まあまあ、那覇くん。外国にタダで行けるんだから羨ましいわ。野球はどうでもいいから、楽しんできなよ。」
「安室ちゃん、他人事の様に聞こえるよ。」
「だって他人事だもん。エヘッ。」
「ギャアアアアアアー!?」
実際問題として、アメリカに行くのは体力的にすごく疲れるので行きたくなかった。
「おお! 那覇!」
「あ、具志堅監督だ。」
そこに具志堅監督が現れた。
「おめでとう! 日本代表決定!」
「ありがとうございます。」
「これで校長先生もお喜びになるだとう。」
具志堅監督は勝って校長先生に褒められて将来は自分が校長先生になりたかった。学校に貢献したと臨時ボーナスも欲しいのだ。
「あ、忘れてた。俺たちも決勝戦でボロ勝ちしたから、全国大会に出場できるぞ。」
「おめでとうございます。」」
なんと沖縄小学校は沖縄大会の決勝戦で勝っていた。
「那覇、おまえがアメリカから帰ってきたら全国大会の初戦だからな、ケガをして帰って来るなよ。」
「は、はい。」
本当は野球したくない。少しは休ましてと言いたかったが気が弱いので言えない那覇であった。
「俺のアメリカ土産は、メジャーリーガーのサインでいいぞ!」
「西表先輩!?」
同じチームの西表先輩が現れる。
「ちなみに誰のサインが欲しいんですか?」
「もちろんニューヨーク・ヤンキーズのタイガー・ウッズ選手のサインだ!」
それって、野球じゃなくてゴルフなんじゃ!? と思ったが平和のために那覇は何も言わなかった。
「そういえば決勝戦は勝てたんですね。おめでとうございます。」
「当たり前だ! 毎日おまえの100キロのボールを見ているんだ! そこら辺のピッチャーのボールなんて止まって見えるぜ!」
沖縄大会の決勝戦。西表先輩の沖縄小学校は7ホーマーの36得点。5回コールド勝ちした。3回までで勝負が着いて敵チームが戦意喪失した。相手の監督が無条件降伏したので、4回5回は形だけの10分で終わった。
「那覇! 俺たちで全国制覇だ! カッカッカ!」
「ああ~もう野球辞めたい。」
個性のメリハリで、気弱な那覇以外のキャラクターは傲慢な元気の良いタイプが多くなってきた。
つづく。
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