第3話 上陸

潮の流れに乗れたのか、僕を乗せた船の残骸は砂浜にたどり着いた。ここは大陸なのか、小島なのか分からないけど、取り敢えず助かった。この時はそう思ったんだけど・・・・

この後10年以上苦しむ事になるとは、この時僕は考えもしていなかった・・・・


・・・・

・・・

・・


砂浜を歩いて、どこか休めそうな場所、そして水を確保するため探す事に。

先ずは少しでも高い場所に向かわないと。

しかしながら、1週間足をまともに使っておらず、なかなか脚はいう事を聞いてくれない。

何とか脚を動かし、前に進んで行く。

砂浜を進み、少し高い場所によじ登ると、そこには森?が広がっており、僕は絶望感の中、その場に倒れてしまった。


どれだけ倒れていたのか分からないけど、ふと目が覚め、気が付くと何処かで寝かせられていた。

状況が分からない。


そして、視線を感じ顔を上げると、何やら鎧に身を包んだ数人の男女が傍に居る事に気が付いた。


「ओह, मैंने मुंडा पर ध्यान दिया お、気が付いたな」

大柄な男性が何か言ってる。


「 क्या आप घायल हैं?   怪我してない?」

小柄な女性が何か言ってる。


何言ってるかさっぱり分からない・・・・

「あの、もしかして助けてくれたのですか?ありがとうございます。」

僕はこう言って頭を下げる。


そしてさっきの女性が  


「ओह? क्या आप एक अलग देश से हैं? मैं भाषा नहीं समझता   あら?違う国の人かしら?言葉が分からないわね」


僕は言葉の分からない国へ辿り着いたようだ・・・・


この後僕とこのたぶん冒険者?の人達が、お互い言葉が分からないのに気が付き、身振り手振りで色々話をしようとしてるけど、さっぱりわからない。


かろうじて僕の名前を、顔を指さし何度か言ったので覚えてもらえたようで、名前を呼んでくれるようになった。


どうにもならないと感じたのか、冒険者の人達は何やら相談してるようで・・・・

さっぱり分からない・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

冒険者Side


「なあどうするんだよこいつ?言葉通じてないぞ?」

「何って・・・・折角生きてるんだから、冒険者ギルドに引き渡せばいいんじゃない?」

「何でそんな面倒な事をせないかんのだ?」

「忘れたのかアフレック、浜で行き倒れてる奴を見かけたらギルドに連れて行く決まりを。報奨金が出るんだぞ。」

「そうだっけか?じゃあ儲けだな。」


ロヴィーサとリキャルドは顔を見合わせ、ため息をつく。これだから脳筋は・・・・

「あのね、アフレック、今は冒険者ギルドは人材不足で独りでも多く登録したいのよ?分かってるの?」

「わかってるよ姉御。この前のドラゴンの襲撃で、かなりの冒険者がやられっちまったからなあ。」


そう言うアフレックは、ドラゴン討伐に参加できなかったのを悔やんでいた。

「仕方ないじゃん、ダンジョンの攻略中だったし?」

今まで会話に参加してなかったマデレイネが言い放つ。


我ら”赤い霧”は他のクラン共々数か月ダンジョンに籠っていた。

その間の襲撃。


「それに、クランの評価にもなるんだからさ、さっさと連れてけばいいじゃん。言葉通じないしめんどくさいし。」


こうして行き倒れてた・・・・ヘルト?多分これが名前なんだろう・・・・を冒険者ギルドに連れて行く事になった。


・・・・

・・・

・・



「おかえりなさいクラン”赤い霧”の皆さん。」

そう言っていつもの受付嬢は言葉をかけてくれた。

「私達がいない間にさんざんだったみたいね?」

ロヴィーサが受付嬢に話しかける。

「そうなんですよ!今回は残念ながらS級クランもいくつか全滅してしまいました。あの上位クラン”自由の翼”が全滅したんですよ、信じられますか?」


・・・・信じられない。私が知る限り一番のクランだったはず。

「・・・・あそこのメンバーって全員S級だったわよね?誰も助からなかったのかしら?」


「ブレスで皆消し炭になったとか・・・・あ、そう言えばロヴィーサさん、その少年誰ですか?もしかして拾ってきたんですか?」


ここでリーダーのリキャルドが受付嬢に話す。

「ああ、森と道の付近に行き倒れててな。どうやら海から来たようだ。浜は何かの残骸がいくつか漂着していたからな、どこかの船が難破でもして、ここにたどり着いたのではないか?」


「そうですか、ありがとうございます。それでは・・・・ギルドの依頼である遭難者の救助、達成という事で処理しますね。」

「頼む。

それと、ダンジョンの素材の買取も頼む。我々は一度拠点でくつろいでいたからな、他のクランはもう来たんだろう?」


「ええ、朝一番で来られておりましたよ。あ、これが受け取りの書類ですね。査定は夕方には終わりますので、暫く待って下さいね。」

「ああすまんな。それとこの少年だが・・・・言葉が通じん。異国からの遭難者のようだ。後は面倒を見てやってくれ。」

「げ!たまにいるんですよね、言葉が通じない人って。では確かにお預かりしますね。といてもギルドに登録してもらうだけなんですけどね。」


私達はこうして少年をギルドに置いてここを去った。

この子供が後に英雄”ヘルト・マッセリンク”と呼ばれる事になろうとはこの時は誰も考えもしていなかった・・・・

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