第4話

 数分後、勝負は終わった。



 「お前ら、強すぎだろ・・・」



 結論として、勝負は紗矢の優勝。

 二位の章吾とはかなりいい戦いを繰り広げていた。


 ちなみに三位は芳実。栄えある最下位は片野君。



 「いやー、それにしても、おまえら全員オタクだったんだな。 なんつーか、意外だったわ」


 「俺は自分がオタクじゃない気がしたよ・・・」


 「良太君、惨敗だったもんね~」


 「とりあえず、はやくジュース買ってきて」



 (全員オタクであるという衝撃の事実を前に、紗矢は相変わらずさっぱりしてんなー)



 財布の中身を確認し、げっそりとした顔を浮かべる片野君。


 しかし、なんだかんだで楽しかった。

 自分の好きなもので友達とこんなに楽しく遊んだのは初めてだった。


 そう思うと自然と口角が上がってしまう。



 「いや、人にジュース奢るのになんでお前は笑顔なんだよ」


 「え、もしかしてマゾ?」


 「良太君、それはまずいよ~」


 「やめて! 本気で心配そうな顔しないで! 違っても傷つくから!」



 章吾も、芳実も紗矢も、みんな受け入れてくれた。

 お互いオタクだったからというのもあるだろう。


 でも、仮にオタクでなくても結果は変わらなかった。

 不思議とそんな気がした。



 「あ、じゃあ今日帰りにみんなでメイトいこう~」


 「お、いいなそれ」


 「無理な人は・・・いなそうね」



 片野くんは親指を立て、満面の笑みでOKサインを出している。


 どうせいつかは言おうと思っていた。

 それがこんなにも早く言えた。

 しかも全員が同じオタクだったなんて。


 これからの高校生活を思うと胸が軽くなる感覚が襲ってくる。



 (これから、楽しくなりそうだ)



 そんなことを思う片野君は、これが盛大なフラグになっているとは思いもしなかった。

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