無限
ステータス開示の、続き。
★
アラタ・アンドウ
魔王有力候補
HP :100
MP :20
ちから:21
攻撃力:2100
まもり:5
防御力:500
素早さ:34
運 :1+∞
魔力 :9999以上
★
と、引き続いて、そういうわけなのだが。
ここでは「例外」の運と「特別」である魔力についての説明をする。
ちなみに、アラタ本人には、――七大天使女王エルリアから説明のいってることだ。
運。
1+∞――と、あるが。
そもそも運がマイナスな者は、人間として生まれていないし。
ゼロの者は、またそれはそれで、特別な特殊な問題となったりもする。
小数点以下だったら、あくまでも全員がそうなるというわけではないが、
たいてい、おとなになって成人するまで、生きていない。
だから、1というのは――もっとも不運な部類では、ある。
もちろん幸せというわけではない。楽しいというわけでもないし、でも楽というほどにはなにも支えを得られることもない。
かといって不幸になりきれるわけでもなく。
自分に酔うこともできず。神も世界も、呪うこともできず、嘆くこともできず。
ただただどうしようもないどうしようもなさだけで。
どうしようもなくとも、どうしようもなく生きるしかない。
運パラメーターが1というのはたぶんいちばんどうしようもないのだ。
そう――安藤新みたいなそのものになる。
大事故や大災害が起こるわけではない。殺人事件も起きないし、失踪事件も起きないし、誘拐事件も起きないし。
家族から虐待をされたりとか、孤児院育ちであるわけでもない。家族には気を許せたことはいちどたりとてなかったけども、不満も反抗心もあったけれど、でもそれだけだった。激しい家族喧嘩があったわけでもないし、きょうだい差別も、きょうだい間の喧嘩も、自分だけ冷遇されたりも、なかったけれど、ただそれだけといえばそれだけだったのだ。
学校で友だちも彼女もなんもいなかったし、かといって派手なイジメをされたとまでいかない、夕陽で殴り合いもしなかったし、女の子を取り合って決闘とかもしなかったし、泣き喚いたことも、悪口を言われたことも、いじられたことさえも、ほとんど起こらないことであって、じつはそれは裏でクスクス言われていたことはある、し、そのことを新も想像くらいはしていたが、それが限界で、想像するのが限界で、想像することはつらいことだし、だからいつしか思考することさえもやめたのであった。
受験や進路で失敗をしたわけでもないけど、かといって成功もせず、学生時代に心のなかでフンと見下していたほどの、たったそれだけの学歴の大学に入って、そのくらいなら浪人をしたかったと思いつつ、でもそんな本音さえ家族も含めだれひとりとして漏らせたわけでもなく、なく、ずっとそんな黒い本音とかは自分のなかに、しまって、
しまい続けて、
――心のなかと性欲でのみ世界のすべてを穢し続けて、
……世界を汚すチカラはなにもなかった者だった。
つまり新にとってはなにも起こらなかったことと同義であった現実世界でのすべての人生だった。
それが、……運パラメータ1、ということである。
さあ、では、さて、そこになぜプラス∞をされた?
なぜただの∞ではなく、
1も残したまま、
∞を追加されたのか?
たとえば、
学校で見る数式のひとつだと思うが、
(n+1)
というものがあり、新は勉強が不得手とはいえその式は見たことがあった。
という数式が直接関係ある、というわけでも、ないのだが、
そのような感じといえば、そのような感じであって、
1+∞
つまり、それは、
つねに∞――むげん、ムゲン、無限以上であるということを指す。
それは無限を超えたことなのかもしれない。
そういうこの世界の神とかあるいは神のまがいものの存在が、
そうゆうことにしたのかもしれない。
そうゆうことなのかもしれない。
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