共犯
エルリアはおれに絡みついてくる。……おお。絡みついてくるなこれ、めっちゃ絡みついてくるよきますよこれ!! なんですかこれ。おお、やらかい。ふにゅり。えっ。そこまでいいのか? サービスサービスゥ、って感じ。
てか、やらかくね?? いまおれの尻の下にはチェアがいるわけだけどもーちょいこの子硬度あるよ。まあ幼女だからか? でも幼女ってふつうもっとプニプニしてるもんじゃない? じゃあなんでエルリアのほうが?
つか、ココネはどうなんだココネは。いやなんか一度くらい記念に犯しとこうかなとか思ったんだけど、なんかアイツみすぼらしいんだもん。荷物もって歩くだけでゼイゼイするしさ。首輪で鎖で曳いても表情クラくなるだけだし。まだかなー、と思うんだよなー、タイミング的になー。
ぶっちゃけこう、そそらねえんだよなあ、まだ。
もうちょっとあからさまに苦しんでる顔とかしてくんねえと……。
それにまあ、おれの童貞喪失なワケだし。
もうちょっと、選びたいだろう。
ふむ。……ハイエルフで天使で女王で金髪で巨乳で眼鏡で、じつは痴女。
ふむ、ふーむふむふむふむ……。
はい、いまもめっちゃ絡んでくるよ。
「……ヤキハタノウギョウって、なんですの?」
「教えたらおれと一発ヤッてくれる?」
しまった。思わず思考をそのまま言ってしまった。
エルリアはまたしても困ったようにコクリと首を傾げた。どうやらこの誤魔化しグセが癖であるらしい。学級委員長タイプっぽいぜ、そーゆーとこは。
「……ええ、アラタさま」
「えーと、でもなんだっけな。そうそう。とにかく燃やす、みたいな?」
「とにかく燃やす、ですか……。
その。私は、魔女と定めたものをいけにえとしてアラタさまに差し出そうかと」
「凌辱! いいね! やっふー!!
わかってんじゃんよお姉さん!!」
エルリアはまた困ったように笑った。
「――てかおれさあ、もうここの森もほんとは焼いてやりたくてさあ。なんかぽわぽわ? してて、気にくわないし」
おれは【黒曜の右手】を黒く光らせてみせた。
エルリアは表情変わらないが、雰囲気が強張ったのがわかるぞ。
「でも、魔女っ娘って、興味あるわけよ。コスチュームプレイモノもおれイケるクチだし」
「こしゅちゅ……?」
「コスチュームプレイ。だからさ、魔女だとかいうやつを、おれにくれるんだろ?」
「……ええ。ですから、その魔女役と、……私。それだけは、そのすばらしい右手で焼かないで、
アラタさまの奴隷としていただけないでしょうか?」
――護衛の女エルフの騎士たちはいまもピシッとしている。心配そうにこっちを見ているヤツまでいる。
ハッ。……精神性は、あのバカ下等妖精どもと、似たり寄ったりだ。
まあなんかここの女王サマだけは違うっぽいけど。
……いやー、こんな稚拙な精神性のなかでは、最低限マトモなエルリアちゃん、苦労しただろうなぁ。
おれはこの世界でおそらくそういう精神性が最高水準なんだろうな。憎むこと。裏切ること。そして、絶望をすること。
そのあたりが幼すぎる世界だったんだと、おれはそう思う。
だからおれは魔王たりえたのだろう。
おれはニヤリ、と笑ってやった。共犯者かのように。
「オヌシも、ワルよのう」
おれは魔女裁判という名前の祭りの準備をした。
また広場的なところ――でも、芸がないから、エルリアに存在したら、空中庭園での開催などいかがでしょうと微笑んだ。
おれはやっぱりおもしろくなった。
空中庭園――なんか神秘的っぽいところだし、ゲームであればラスダンとか、そこまでいかなくても中盤から終盤にかけてのところっぽい。
そんなところで、魔女裁判――エルフの女どうしの醜い争いをするなんて最高じゃねえか。
エルリアは眼鏡すがたでふわふわにこにこ言っていた。
「エルフの、しかも女に、正しいとか間違っているとかは、ありません。
ただ、ひたすらに、女どうしの悪口大会となるのでしょう。
ふだんの鬱憤をみな晴らすことができ、
みなにもっとも嫌われた者と、
それとまっさきにアラタさまに忠誠を誓ったわたくし――のみが、アラタさまの新世界にも、生存できるというわけですわ」
「なんだよお。それってつまり、女はこえー、ってやつじゃーん」
おれは軽い感じでツッコんだ。
「……そう、ですね。そういうことに、あいなります」
「はーっ、これだから女の集団はコワイねえ、とか、おれも言ってみたかったんだわー! ありがとうエルリア。おかげで夢がひとつかないそうだ」
「まっ、アラタさまったら、エルリアとまぐあうのはまだ早いでございます……の。ぽっ」
まったく、たいしたイチャイチャだ!
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