第3話
飯盒二つでご飯を炊き始めた直後、心配そうな顔をした紅葉がこっちにやってきた。
「セナさん、どうですか? これでいいですかね」
「うん、大丈夫だね。ペグのさし方も合っていたし、莉桜も呼んで、そこらに折り畳み椅子を出して座っていな、ご飯作っちゃうから」
「はーい」
先程沸かしたお湯を使い二人に紅茶を淹れて、自分はミルクと砂糖たっぷりの珈琲片手に野菜の煮込みを混ぜ続け、後はルウを入れるだけの段階にまで進んでいた。
「あれ、もうそこまで進んでいるんですね。時間かかり過ぎましたか?」
「いや、大丈夫。慣れないうちはゆっくり確実に組み立てる事に集中してね」
「はーい、よかったね、紅葉」
そうこうしないうちにルウを投入してカレーが完成した。ご飯が炊けるまでカメラを止めるとスタッフからカンペが提示されたからこの時間の間に軽く明日の行動を決める話し合いが行われることとなった。
そんな最中、紅葉が突然、ちょっと電話してきます。と言って腰を上げて、焚火から少し離れた所で電話をかけはじめた。もう少しでご飯が炊けるぞっていうタイミングで紅葉が帰ってきた。いざ、食べるぞっていうとこまで盛り付けをして、撮影を再開してから話をスタートした。
撮影から数分、先ほど紅葉が離れて電話していた時の話を振ってみると、男性アイドルの
「それはそうと、セナさんのカレー美味しいですね!」
「口に合ったならそれは作った甲斐あるよ」
僕の作ったカレーがテレビの映像に載るなんて考えたら照れるな。
撮影スタッフに珈琲を配り、僕らはテントに入った。明日は紅葉が僕のルーティンを真似したいと言っていたから、僕と同じテントで寝ることに。僕らがテントに入ったのを確認して、スタッフはロッジへ引き上げて行った。紅葉が起こした行動の理由は、翌日の小田原観光で理解することになる。
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