第2話

「今日は空が澄んでいて富士山が見れてよかったね」

「うん、出発した時雲行き怪しかったから不安だったんだよね」

 シーキャンドルの展望台から景色を眺めていて、紅葉が富士山が見える事に気付いた。

「セナさん、この後の予定は何ですか?」

「この後は厚木方面にでて、相模原にあるキャンプ場に行って一泊するよー。その後は紅葉や、莉桜。あとはファンから場所指定してもらうとかかな?」

「あ、ファンのみんなからの場所指定いいですね!」

 カブの停まっている駐輪スペースにて次回の話をしながら一回目の配信を撮り終えた。次回のスタート部を撮った後僕らはカブに跨りそろりそろりと出発した。

国道をのんびりと走り本厚木駅を過ぎたあたりにあるスーパーで晩御飯の買い物に寄り道をすることにした。

「二人共、晩御飯は何がいい?」

「えっ? セナさんが作ってくれるんですか?」

「わーい、カレー食べたいです!」

「わかったよ。じゃあ、カレーの材料買っていこうか」

「やった!」

「セナさんの作る料理はおいしいって咲夢ちゃんから聞いていたので嬉しいです」

「妹から? そっか、何時も僕の作ったご飯を仏頂面で食べている妹がねえ……。まぁ、僕の下手な料理でよければいつでもご馳走するよ」

 僕の作るご飯が美味しいと一言も言わない妹の咲夢が外の人間にそんな事を言っているだなんて、姉貴も知らないだろうな。

 買い出しを済ませ再び、再び相模原のバイクを乗り入れる事が出来るキャンプ場に向けて出発した。そこまで遠くないからとスタッフを先頭に走る事二時間、目的地に到着した。

「二人は協力してテント立ち上げてね。僕火おこしとか含めてやっちゃうから、ゆっくりでいいよ」

「はーい」

 僕は二人がテントを立てるのを横目に、受付で購入した炊事用の薪を組んで火をおこし、コンロや愛用の折り畳み椅子を広げて、お湯を沸かしはじめた。

 数回練習したとはいえ、あたふたしながら設営する二人を見つめ、焦れる心を抑え込み、アドバイスだけをする。なぜかと言えば、これも僕がもし別の撮影で離れた際に二人だけでテントを設営できないと困るからだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る