第2話 Lady Life
ー翌日ー
「「「おはようございます!!お嬢様!!」」」
「……おはよう。」
ほんとに朝からうるさい連中ね…休日の朝だってのに。一体父さんからどんなこと教わったの?
「朝食のご用意は出来ております。さぁ、どうぞ。」
「ありがとう、ペリドット…」
そう考えてみると年季の入ったペリドットの声は落ち着く。流石は私の専門執事をやってるだけのことはある…
「お嬢様、本日はどのようなご予定でいらっしゃいますか?」
「別にどうって…考えてないけど。」
パンにバターを塗りながら私は気だるそうに答えた。まだ眠気がとれてないからそんなこと考えてもいない…
「たまには現世で休息を取られてはどうですか?悪魔狩りばかりに縛られては心身共に疲れてしまわれるかと…」
「現世ね…」
確かに魔界にも街や都市は存在しているが、現世とは全く違うものだ。まぁどうせ家族は今私一人だし、行ってみるのも悪くないかな。
「分かった、ちょっと現世に出てみる。外に出る服を用意して。」
「承知致しました。」
ー数時間後ー
「じゃあ、行ってくる。」
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ。」
ー現世ー
現世に来たというものの何をしようか考えてなかった…ま、まぁとりあえず服か何かでも見に行くか…
「あれ?サフィさんじゃない?」
「あ、ほんとだ!サフィさんもここに来てたんだ~!」
ギクッ!ここでクラスメイト二人に出くわすなんて!?
「こ、こんにちは…」
「私服姿のサフィさんに出会えたのって奇跡じゃない?」
それって、私が普段外出しない人だと思われてるってこと…!?
「ねぇねぇ!これから私達は買い物に出掛けたりするんだけど、サフィさんもどう?」
「えぇ…私も行くわ。」
しまったァーーー!!ついノリで「私も行く」って言っちゃったァーーー!!でもさすがに声かけられたから無愛想には出来ないし…!
落ち着けサフィ…私はペルビ家の社長令嬢で魔人だ…何もこの人間達の為ではない…私の為なのだからな…!
ー数時間後ー
「ここのパフェはやっぱ美味しいね!」
「しかも結構盛られてる割には値段安いし!」
「ほんと…こんなに甘くて美味しいものを食べたのは初めてだわ。」
ヤバイ、すっかり馴染んでしまった。現世にあるパフェは食べたことなかったから興味はあったんだが…出来ることなら人目に見られず一人でゆっくり食べたかった…!!
「あっ…サフィさん口元にクリーム付いてる。」
「まぁまぁ、パフェ食べたら良くあることだよね。」
私は即座に手で口元を調べた。確かに白いクリームが付いていた…それを見て二人は笑う。
「ふふ…サフィさんって意外と天然?」
何だろう…笑われてるのに怒りが湧いてこない。いやむしろこっちも笑いたくなるというか…こんな感情は初めてだ…
ー夕方ー
「今日はありがとう。服も色々買えたし楽しかった!じゃあまたね!」
「うん、またね。」
楽しかった…か…正直なところ私も楽しかった。初めての感情や味とかで戸惑うことはあったけれど、楽しかったことには変わりない。また…いつかの日に出掛けたりしたいな…
ーペルビ邸ー
「お帰りなさいませお嬢様。現世はどうでしたか?」
「えぇ、有意義な時間だったわ。彼女達のおかげで。」
「彼女達…というのは?」
「学校のクラスメイトよ。そして…私の初めての友達。」
「それはそれは、さぞかし素晴らしい1日でございましたでしょう。」
「ほんと、良い人間もたくさんいるのね…勉強になったわ。」
続く。
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