第3話 Punishment


ー学校ー


「おはよっ!サフィさん!」

「今日も頑張ろうね!」

「おはよう。二人とも。」

あの日からというものの、彼女達とは良く絡むことが多くなった。私としてもペリドット以外で心を許せたのは彼女達が初めてだった。

「それでさ、学校終わったら何する?」

「私ね、最近良いカフェ見つけたんだ!」

「もぉー食べてばっかじゃん!」

ズゥゥゥン…

「……!!」

このよどんだ気配は…悪魔だ…!!でも一体どこから…!?

「どうしたの?サフィさん…」

「いや、なんでもな……ッ!?」

この瞬間、私はあまりの衝撃に言葉を失った。悪魔が憑いていたのは彼女達二人だったのだ…しかも強大で禍々しい魔力を放っている…!!

「サフィさん、調子が悪いのかな?」

「私なら大丈夫…気にしないで。」

「分かった…でも辛くなったら声かけてね。」

このまま放っておくとマズイ…早く切り離さなければ…!


ー昼休みー


私は廊下に出る間際に小声で二人に暗示をかけた。

「我らに仇なす黒き輩、その罪を償う時が来た。姿を現せ…!」

「グジュゥゥゥ……」

よし、捕縛だ!

シュルッ…バチィッ!!

人気の無い所を捜し、魔界へと赴き、一気にケリをつけようとした。出来るならばこの昼休みの時間に始末しておきたいところだ…


ー魔界ー


パシュッ!!

「さっさと始末してあげる…!」

サッ…

二つの剣を取り出したところで私は妙なことに気づいた。悪魔はある一定の形を持っているのだが、この二体の悪魔は形状を持たず、霧のような姿を持っている…

スゥゥゥゥ……

「あっ…!?」

二体の霧のような悪魔は奇妙なうねりを見せ、空へと浮遊していく…

ズドンッ!!

「グルァァァァァ!!!」

「そんな…!!悪魔同士で融合したなんて…!?」

私の前に突然現れたのは二体の悪魔が融合した、まさに合成獣(キメラ)のような悪魔だった。図体は通常の悪魔の二倍はあるだろう…朝に感じた強大な魔力の正体はこいつだったというのか…!?

「グァァァァァ!!!」

ブゥンッ!!

「くっ…!」

猛獣のごとき爪は魔人なんぞバラバラに裂けるほどに鋭いの目に見えて分かる…なるべく爪による攻撃は避けなければ!

「ハァッ!!」

ジャキン!!

ダメだ…図体が大きすぎて攻撃が浅すぎる…!!

「ならライフルで…!」

ガチャ、ガコンッ!!

パァンッ!!

「グルァァァァァ!!!」

そんな…ライフルの銃弾も効かないなんて…!

「グラァウッ!!」

ザシュ!!

「ぐっ…!!」

唖然としている私に悪魔は私の左腕に傷を付けた。

「ならイチかバチか…」

あらゆる攻撃が効かないのならこのまま戦っても無意味に近い…私は今ある自分の魔力をライフルに注ぎ込んで強力な弾を作り出す。

コォォォォ……

「これで…吹っ飛びなさい!!」

ズドォォォォォン!!!

とてつもない爆音を上げて悪魔は粉々に吹き飛んだ。魔力をほとんど使い切ったせいか体が重い…

「私の友達にちょっかいを出したお仕置き…よ……」

やれる分はやった…早く学校に戻らないと……





「んっ…」

重たい目を開けて、私がようやく目を覚ますと自分の部屋にいた。

「お目覚めになりましたか、お嬢様。」

「ペリドット…なんで私はここにいるの?学校は…?」

「学校には早退と伝えておりますのでご安心を。お嬢様が倒れていたのを偶然執事の一人が発見して連れて来られたのですよ。」

偶然って…どんな偶然よ…

「まぁ助けてくれたのは感謝するわ。そう伝えておいて。」

「承知致しました。しかし…何故倒れるほどの魔力を消費したのですか?」

「私の見たことない悪魔だった…二体の悪魔が融合して合成獣(キメラ)のような形になったから…」

「なるほど…それはそれはお嬢様がご無事でなによりです。」

「攻撃が効かないから魔力使い切って魂ごと吹き飛ばしたわ。」

でもこれで二人は無事ということ…人間のために力を使ったのは私にとって初めてのことだった。これもまた二人のおかげなのか…

続く。

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