第38回「ずっと前から……」/花火

「ねえ、紅葉くれは

「んー?」

「何処でセナさんのこと知ったの?」

「あー、セナさんが元アイドルって事?」

葉月も知ってるはずだし、葉月はづきが教えてくれたんだけどな、セナさんの

事。

「葉月、中学時代に読んでたファッション誌は?」

「LanLanのこと?セナさんに関係あるの?」

「あれにさ、よくセナさん表紙飾ってたよ?」

「マジで!?えーわかんない」

「葉月が教えてくれたんだよ?まぁ、明日セナさんにきいてみな?」

翌朝、私達がテントから出るとセナさんはキャンプチェアに座ってのんびり湖畔を眺めて珈琲を啜ってた。

「セナさんおはようございます」

「セナさんおはでーす」

「おはよう、なんか僕だけ珈琲持ってて悪いね。起きたら珈琲飲まない

と頭働かなくってさ」

「私達はテント内に紅茶持ち込んでるので、気にしないでください。そ

うだ葉月、セナさんに聞きたいことあったんじゃないの?」

「そうだった。セナさんってLanLanに載ってました?」

「おぉ、直球で聞いてくるね。中学の時少しの間だけ読モとかしてたよ。

よく僕だって気付いたね」

「紅葉が気付いて教えてくれたんです。セナさんがLanLanに載ってたよって」

「気付いた時、凄い嬉しかったです。ずっと前からファンで今もセナさんがアイドルしてた時に出した曲聞いたりしてるんですよ」

「懐かしいね。もう僕ら大人だよ。時間は花火のようだ」

小学校5年生位の時から読モとして載り始めて、中学生になったらアイドルとして売れて、私達のカリスマ的存在だった。

ある日を境に、パッと花火が散るようにテレビから姿を消したセナさん。

私達はLCBとして、セナさんと出会い、尚且つセナさんの部下になれ、一緒に仕事する事ができる。

同級生からしたら羨望の目で見られるかな、それとも葉月みたいに皆忘れちゃってるのかな

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