第34回「どうぞよろしく」/裏通り
昼下がり、僕は行きつけの喫茶店で一人考え事をして待ち合わせ相手
を待っていた。
「おはよー。おまたせ、セナ」
「唯、おはよう、元気だったかい?」
「まぁまぁ、かなぁ。 そうだ、今日はセナに合わせたい人連れてきて
るんだよ」
「唯が僕に合わせたい人? 誰だい?」
「うちの兄貴なんだけどさ、セナの話したら興味持ってね。 今日会
うって言ったらわざわざ予定合わせて帰ってきたんだよ。 だから連れ
てきた」
「なるほど、そのお兄さんは?」
「もう少しで来るよ。 迷わなければ、だけどね」
「こんな裏通りにある喫茶店迷わず来れると思わないけどね」「こんな裏通りで経営してて申し訳ありませんでしたねえ」
此処は唯が情報を集めるために経営してる喫茶店。ふらふらと僕が迷
い込んだのが唯と出会ったきっかけ。
昔の事を思い出していたら、カランカランと喫茶店のドアが開く音が
店内に響く
「お、 噂をすれば兄貴ー!こっちこっちー!」
「やぁ、唯、 こちらがセナさん?」
「そうそう、 話してたとおり格好いいでしょう?」
「うん、 格好いいし綺麗な人だ」
「唯、 兄妹で話すのは構わないけど僕にも紹介してくれないかな?」
「あ、 ごめんごめん。セナ、うちの兄貴の晶。世界飛び回ってるよ」
「綺麗な人だね、 晶さん」
「セナさん、不躾で申し訳ないんだけどさ、 これにサイン貰ってもい
いかな?」
晶さんがキャリーケース中から取り出したのは、LCBの二人と撮っ
た写真集だった。
「あれ? セナのこと知ってたの?」
「唯から話されて調べたらファンになっちゃってね、 ファッションの
参考にさせてもらったりしてるんだよ」
「僕のファンかー、 目の前にすると少し恥ずかしいね。 まぁこんな
僕でよければ、どうぞよろしく」
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