「晶、僕には昔叶えたい夢があったんだよ」

「夢? いきなりどうしたんだい?」

 番組の企画でスカイダイビングをする事になって、スカイダイビングで自由落下をする高度まで上昇中に撮影陣から雑談してる姿を取りたいとの事でカメラを回してもらいながら晶と雑談をしている最中にふと思い出したから話題に上げた。

「セナはなんかリアリストだと思っていたよ」

「子供のころは皆誰しも夢と希望に生きるものさ」

「そういうものかな? で、セナの夢ってなんだったの?」

「ん? 飛行機のパイロット。セスナとかの小型機のやつをね」

「あー、でも叶えれるんじゃないの?」

「……実は半分は叶えてるんだ。でもね、飛行機がないんだよね」

「セスナの免許は取ったんだ……。買う?」

「晶の思考は相変わらず僕優先なんだ。買ったところで置き場がないよ?」

 流石に姉貴のプライベートジェットの横に置いとくわけにもいかないし、残念だけどこれは免許取っただけで満足するべきなんだよね。

「じゃあ、これ飛んだ後にさ、許可取って僕を横に載せてセナがセスナ操縦してよ。カメラさん後ろに乗せたら面白いやろ?」

「いいけど、許諾降りるのかな?」

姉貴の会社とはいえ、厳しいものがあると思うんだ。

「晶、全ては降りてから考えようか?」

「そうだね」

ムササビスーツでスカイダイビングをするのは流石に可笑しいでしょぉぉぉおおおおって晶の叫び声を聞きながらパラシュートを背負って、晶を追いかけている僕は生身で鳥になった気分を味わえて、なかなかいい経験が出来たなぁって思いつつ、いい加減パラシュートを開かないといけないとインストラクターからの無線を聞き、慌てず晶を急降下で捕まえに行く。その姿をインストラクターと飛んでいるカメラマンから鷹が急降下して獲物を捕らえに向かってるみたいだって突然言われてちょっと笑ってしまった。


――まぁ、間違ってはいないかな。晶は僕の獲物だし――


 結局、許諾が下りて、晶を横に乗せて空中デートが出来た。後ろにカメラマンと操縦士を乗せてという邪魔は居たけどね?

「ありがとう、セナ。楽しかったよ」

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