2―「チョコレート、ボールペン、炭酸ジュース」
「咲夢はどこ行きたい?」
「私は何処でもいいよ? あ、でもあそこ行きたいかも」
「ん? 何処だい?」
「秋葉原か横浜にあるあそこ!」
「お好み焼き屋さんか、お昼にちょうどいいんじゃないかな」
僕が好きでよく行くお好み焼き屋が横浜と秋葉原にあるから、どっちも良く行くんだけど、今日は時間あるし横浜の店舗に行こうかなんて、咲夢と相談をする。晶から僕より妹を優先するんだね……なんて連絡が来てるけど僕の性格を知っていれば構ってほしい的な事言ってくるのもわかる。でも何もしない。
「じゃ、横浜に向けて出発しようか」
「晶さんはいいんです? さっきから鬼のように連絡来てますけど……」
「いいの、今日は咲夢と遊ぶ日って決めたから、咲夢とデートするんだよ?」
「分かりました。いつも通りのルートでいいんですよね? 私先行します」
「了解、じゃあお願いね」
横浜スカイビルに向けて国道一号を使うルートでのんびりと咲夢に前を走らせる形で動き始めた。
数時間走って目的地の駐輪場にバイクを並べて停めた。ふと駐車場を見るとここに居るはずのない車が停まっていた。
「ねー咲夢、あの車の前に居る人ってさ……」
「あ、やっぱり晶さんですよね」
「うん、なんでここに居るんだろ。いや、仕事が無くなった分今日から晶も休みだけど……」
「戀姉が場所教えた? いや、あの人は何処と何処なら行く可能性ある。程度でしかないはずだし……」
そうこうしている内に晶が車から離れて僕らの方にやってきた。
「おはよう、セナ。今日もいい天気だね」
「おはよ、晶。で、なんでここに居るのかな?」
「おはようございます。ここに居ないはずの晶さんがいるのはちょっと不思議なんですけど。どういう事でしょうか?」
「戀さんに聞いた……って言っても信じないか、セナっていつも咲夢と遊ぶときここか秋葉原に行かない?」
「行くね、でも秋葉原に行かずにこっちに来たんだね。それは一体どうしてかな?」
「セナのマネから聞いたんだ、今日は咲夢とツーリングするって言ってたいから。ならこっちかな? って思ったからこっち来た。ダメだったかな?」
「ダメじゃないよ」
偶に僕の彼氏くんは勘が良すぎる瞬間が来る。いつも飄々と僕の心をつかんで離さないのに、気が付いたら一段階上の絡め捕り方をするから心臓に悪い。
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