依藤家の短編

@e10ulen

三題噺

1―「チョコレート、ボールペン、炭酸ジュース」

「セナ姉おはよう、朝からCCレモンとはまた珍しい物を飲んでいるね」

「お、咲夢さくらじゃん。久々に会えたね。元気だった?」

 僕は普段からキャンプ場を巡ったりして、家の事は咲夢に頼んでいる状況のため、咲夢はもとより、姉貴にすら会うことがない。たまたま、会社に出社したら、同時刻に出社してきた姉貴につかまって、炭酸ジュースを渡されてしまったので仕方なく飲んでいる。

「あれ、咲夢って姉貴がなんで炭酸飲めないのか知っているっけ?」

「いや、知らないよ? というか、れん姉って炭酸飲めないんだ」

「昔さ、姉貴が炭酸を寝ぼけて振ってから飲んだらしくて鼻から逆流起こしたのさ」

「は? 炭酸を振った?」

「姉貴ってさ、いつも眠そうでしょ? だから振ったみたいでね。それで、苦手意識を持ったみたい」

「そんな事、有ったんだ」

「うん。咲夢ってこの後暇かい?」

 運よく、妹の仕事がなければ、遊びに誘おうかなって思ってる。

「今日は戀姉の秘書紛いな事も無いし、暇な一日だよ。どうして?」

「ツーリング誘おうかなって思ってね?」

「セナ姉が私を誘うなんて珍しいね、……あれ?あきらさんは?」

「昨日の夕方から撮影で今頃ロンドンさ」

 晶とご飯を食べた時。一か月の予定をすり合わせしたりするんだけど、翌日から海外渡航しての撮影が続くらしい。

「また海外ですか? 人気者も大変ですねぇ、あれ? セナ姉の仕事は?」

「僕は僕で国内移動で撮影がいくつかあるんだけどそれは来週からだよ」

 とりあえず、咲夢のバイクを動けるようにメンテナンスをする事にした。何やらここ数か月、エンジンすらかけてないらしく、動かない可能性が高いとのことなので、僕のメンテ道具が詰まったガレージに移動する。

ん? マネージャーから電話だ。晶の仕事が先に出発したスタッフからの連絡で急遽トラブルで行かないまま予定空く事になった

「わかりました。でも今日は僕、妹とツーリングするんで、すみませんがお願いします」

 晶には僕としても会いたいんだけど、今は妹を構うための事をしているから会わないけどね、とか言ってるそばから晶から連絡来たけど、僕は一度決めた事は曲げないから、咲夢を優先する。

 メンテナンスが無事終わり、咲夢のバイクが無事動く事を確認して、今日の予定を考える。

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