第6話

そんな感じで撮影は無事スタートした。

「SLCB~CampRing~」

「タイトルでわかるかな? セナさんと一緒にキャンプしたり、ツーリングする番組です!」

「おぉ~」

「おぉーって莉桜。わかってる? セナさんだよ?」

「わかってるよー!」

「まぁ、僕としては紅葉より莉桜の反応の方が気楽でいいんだけどね」

「ほー、で、今日は何するんですか?」

「えっとね、まずは二人に練習としてテントを張ってもらいます。そのあとに買い物行って、僕がご飯を作るみたいだね」

 二人に今日一日の流れを説明していたら、カメラの向こうでスタッフがOKを出してた。気づいてない二人に軽く頷き、とれ高(放送で使えそうな映像素材)取れた事を教える。無事気づいた様で三人でカメラに目線を送ると示し合わせたようにスタッフからカットの声がかかる。スタッフが近寄ってきて、僕らにお茶を渡すけども、僕は先ほど入れた珈琲があるからとそれを断り自分だけシェラカップ(キャンプグッズの一つ)に珈琲を注ぐ。のんびりと飲み始めたら、またスタッフが慌て始めた。今度は何だ? スタッフを観察しつつ、莉桜達と談笑をする。

 先程の休憩時間に起きたスタッフ慌てぶりが嘘のように順調に進んだ撮影も終盤。今日のキャンプ地は合流地点だった場所だ。晩御飯は莉桜達が希望した、カレーと焼きマシュマロだ。莉桜達いわく、何やらアイドル活動の一環でマシュマロを焼いてる姿をインターネットに上げたい……らしい。で、メインがカレーなのは姉貴から僕の作るカレーがすごいおいしいからって聞いてたから、食べてみたいんだと。

 僕のテントのすぐ近くにテントを張る二人を横目に調理をしていく。この姿すらスタッフが撮影している。テントを張り終わった二人がこっちに戻ってきた。

「お疲れ、ちゃんとテント張れたね。ほら、珈琲でも飲むかい?」

「ありがとうございます。あ、いただきますね」

「テント、一回事務所で張る練習したからできたー!」

「さて、今日最後にお知らせがあります。セナさんがなんと」

「この度この番組を足掛かりに復帰することになりました」

 ハイカットー! なんてアシスタントディレクターの声を皮切りにスタッフ一同が騒がしく撮影機材をまとめ始めたのを横目に僕はスタッフに配る珈琲を入れ、現場の偉い人から配り始めた。がやがやと撤収する姿を見るのは久々だ。またこの業界に戻ってくるとは全く考えてなかったな。

「セナさん! 早く食べましょうよ! それと昔の話聞かせてください!」

「あぁ、いいよ。そこにご飯炊いてあるから自分で食べる分よそってね。お代わりの分も作ってあるからいっぱい食べてね」

明日からも頑張ろうね。二人とも。

(了)


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依藤セナの休日 @e10ulen

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