第5話

 どうしようか悩んでたら、姉貴が勝手に決めたようで。あれよあれよという間に初回撮影日が決まった。僕は普通にキャンプ生活からの合流、二人が撮影クルーを引き連れてキャンプ場へ来る。という形になったらしい。僕はとりあえず全員来るまで撮影されない、ということなので普段通り、起床して、荷物が無事かどうか確認してから珈琲淹れて朝ごはんを作ってる。昨夜作った取っ手のついたフライパンでソーセージと目玉焼きを作りながら『いつ来るのかな』なんて考えてたら静かなキャンプ場に乗り物のエンジン音が聞こえてきた。僕のカブの隣に二台のカブがそろって止まった。黄色のリトルカブと、水色のリトルカブ。ヘルメットもそれぞれのカブの色に合うような感じの色合いになってる。

「お待たせしました。セナさんは朝ごはんですか?」

「いらっしゃい、っていうのもおかしいかな。そう、朝ごはんだよ。二人は朝ごはん食べてきたの?」

「いえ、朝から宣材写真の更新があったので……」

「スケジュール大変でしょ? しかもこれからこれで撮影するから何日かこれに拘束されるし」

「そうなんですよね。でもまぁセナさんと一緒に出演できて、当時の話を聞けるのなら、それはそれでいいかなと思いまして」

「そっか、ならいいんだけどさ」


 撮影の話の流れとしては簡単だった。莉桜達が喋り、僕が特別出演として出る。後はアドリブだ。


「やぁやぁみんな!LeafCherryBlossmsの私たちの時間だよ!」

「毎度ながらいろんな番組で同じ挨拶を使うのはどうかと思うぞ、莉桜」

「いいじゃない、というかこの番組だと今日が最初で最後のこの挨拶だし!」

「おや? それは一体どういうことだい?」

「今日はなんと特別ゲストが来ています!」

「新番組で今日もなにもないけどね? まぁ、一体誰なんだ?」

「あの、高校入学を機に電撃引退したセナさんです!」

「やぁ、約6年ぶりのテレビの収録で若干緊張気味のセナだよ」

「ということでセナさんが今回特別に来てくれました」

「私たちの憧れの方ですね。今日はよろしくお願いします」

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