第2話

 そんな妹とのやり取りを終え、また会社に向かってカブを走らせる。暫く走って、やっとこさ会社の地下駐車場まで来た。自身専用となっているバイク置き場にカブを止め、うちにいるバレーサービス(車両を預かり駐車してくれる人の事)に珈琲を差し入れして、エレベーターホールへ行く。そこには妹が待っていた。

「やぁ、咲夢さくら。して姉貴は何を考えてる?」

「おはよう、久しぶりだね。れん姉に関してはわからないなぁ……でも、なんかこの前セナ姉に部下を付けるとか言っていたよ。」

「は?」

 役員名簿に名前が載っているだけで、実際ほぼ仕事していない僕に部下を持たせたところでどうするんだろう。まぁ、それは姉貴がなんか考えているだろう。そんなことを思いながら、エレベーターが来たから役員会議室のある階まで移動する。部屋の中で待っていると、ハイライトの消えたオッドアイの猫のぬいぐるみが置いてあることに気づいた。

「咲夢、ねえこれってさ」

「ああ、戀姉の趣味ですよ。なんでも副社長から贈られたオーダーメイド品だとか」

「ほー、まぁいいや、姉貴はまだなのかい?」

「もうそろそろ来ると思うけどなぁ」

 そうこうしているうちに、会議室のドアが開き。紺色の艶髪をのぞかせた。

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