依藤セナの休日

@e10ulen

第1話

 朝、目が覚めると、何時もの天井が見える。という訳でもなく、コバルトブルーのサラサラとした生地が目に着く。軽く首を動かしテントの中を見回す。中は二人寝転ぶのがやっとの広さ。設営時に詰め込んだ荷物は無事なようだ。起き上がり、寝袋から片手を放り出してテントの前室へのジッパーを下ろす。ぼーっとする頭を動かすためにカセットガスバーナーを点火し、珈琲を淹れる為の準備をする。

荷物の中から携帯と手帳を取り出し、今日の予定が何だったかを確認すると自身の姉と会う予定になっていた。手早く珈琲を飲み干してテントを片付けて愛車のカブの荷台にいつもの手順で積んでいく。

軽く引っ張ったりしてゆるんだりしないことを確認して、ここから姉の居る会社までのルートを頭に浮かべる。

そろそろメンテナンス作業しないとなぁと思いながら会社までの道のりを走り始めた。暫く走って、コンビニで休憩をしていた時に妹から電話が来た。

 率直に用件を聞きだすと、姉がよからぬ事を考えているという話だった。何を考えてるかは、当の本人に聞きだすしかないとのことで、尚の事行きたくなくなってしまう。

 そんな気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る