第588話 カミラの魔道具
暫くして色んな状況が落ち着いたので、俺は今領地の館に戻り、久しぶりに何か作ってみようかとか思いながら工房へ向かう。
【チッ!逃げられたか!】
とか聞こえたが・・・・決して逃げてるんじゃないからな!
たまには一人でゆっくり寝たい・・・・1人の時間も欲しいんだよ!とは決して言えないが・・・・
・・・・
・・・
・・
・
工房へ入ると、シビルとカミラが何かをしていた。
ちなみにこの工房、俺と家族専用・・・・
店用の開発スペースやらは、工場にあったりする・・・・
で、シビルなんかはこの工房を作る時、最初からシビル用のスペースを設けてあったりするんだよな。
彼女の場合薬品やら薬草やら・・・・
まあ、俺が作るのは基本硬い物体だからそれなりのテーブルがあればなんとかなる。
だがシビルの場合、液体の事が多いので、専用の設備がどうしてもいる。
時に液体を溶かしたり、沸かしたりと火を使うが、逆に冷やす場合もある。
なのでそれなりに大きめに場を用意してある。
俺がそのシビルが用意した器具を見ても・・・・
使い方がさっぱりわからない事が多い。
一方のカミラは俺の妻になってまだ日が浅く、今は俺の使っているスペースをそのまま使っているようだ。
「何?今忙しいんだけど?」
カミラは何かに夢中なようだ。
「いや、元々俺が使ってたスペースだからさ、何かと不自由、不便があるんじゃないかと思ってさ。」
俺はカミラを見ながら言う。
何せ道具は俺が使うために揃えたからな。他人が使うためにとか一切考慮しなかったからな・・・・
「ん・・・・色んな道具があって便利。それに椅子は既に自分で作った。高さが合わなかったから。」
そう言えば椅子が増えてるな。
俺のは異世界売買で購入したキャスター付きの奴だ。
カミラのもキャスターが付いている。
見ていると、時々椅子ごと違う机に向かっているようだ。
あれ?なんか自走してる?
「なんかすごい仕掛けがありそうだけど?」
「椅子?大した事ない。魔石を用いた。魔力を込めれば向かいたい場所へ向かってくれるように作っただけ。」
そうは言ってもそんなの簡単にできないぞ?
「旦那さまどうした?私を抱きに来たのか?できればこれが完成するまで待ってほしいものだが・・・・」
「う・・・・カミラを抱きたくない訳じゃないが、俺も少し時間ができたからな、何か作ろうかと思ってここに来たんだよ。」
「ふうん・・・・でもここはすでに私が占領してる。どうするのだ?」
「いやまだ沢山スペースあるしな・・・・鍜治場もあるし・・・・」
そんな事を考えていると、イベッテがやって来た。
「よかった!シモンさんここに居たのね?大工さん達から新たな道具の製作を依頼されてるんだけど、一寸作ってくれないかしら?」
「うん?そんなの大工なら自前で作れるんじゃないのか?」
「小さなものはね。今回は、製材用の設備。木材を乾燥させるのと、材木を真っすぐに切る道具ね。長い板や柱にするのに、素早く加工したいらしくて。何分このままのペースではとても建物が間に合わないそうで・・・・」
「カミラには頼まなかったのか?」
「彼女には水車を作ってもらってるの。これは農家からの依頼ね。麦を大量に粉にしたいからと・・・・こちらも何分領地の人口増大に合わせ、食料の供給が追い付かないらしくって・・・・で、川に水車をいくつも・・・・」
あ、そうだ、思いついたぞ。
「なあ・・・・その水車でな、製材の装置を作れるはずだぞ?」
確か昔はそんな事をして木材をカットしてたはず・・・・
のこぎりを動かすのに水車を動力に・・・・
横で聞いていたカミラが・・・・
「イベッテさんそんなの私がしちゃうよ?」
「え?でも今作ってるのもなかなかの手間でしょ?」
「問題ない。」
そう言えば工場の機械ってどうなんだ?これは色々見直しをしないといけないな・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます