第573話 マウリシオさんの案

「全員に確認いたしましたが、残念ながら・・・・」

一体どういう身分なんだ?

「全員農村出身でございますな。」

うわ・・・・しかも外に出なかった?


「じゃあどうするべきだと思う?」


マウリシオさんは最初からどうすべきか考えてくれていたのだろう。

こういう時、人として・・・・こういうと否定する人もいるだろうが、一流と二・三流の人と言うのは差が出る。

ここで言う差とは・・・・


先ずマウリシオさんは自身で預かる、と言うのを否定した。俺は預かってほしいと暗に言っていて、マウリシオさんもそのつもりだったはずだ。だが否定してきた。

ここで二流・三流の人なら自身では無理、俺に丸投げで終るのだが・・・・

一流と言われる人は、何とか出来る努力をする。そしてそう言った方向で進めようとする。

だが、どうしても無理な場合がある。その場合は・・・・

無理なかわりに、別の提案をするのだ。

マウリシオさんが一流だと俺が思うのはここにある。

何せ、案の定というか、俺が考えていない、しかも納得できる別案を示してくれたからだ。

因みに某政治家も、一流と二流以下ではここに差がある。


何でも反対する議員はいる。

反対はいいのだが・・・・俺もその政策はどうなんだ?と思わないでもない事が多々あったからな。

だが、一流は反対するだけではなく、対案を用意している物なのだ。


そしてマウリシオさんが示したこの12人の今後についてだが・・・・


「単刀直入に言いますと、ダンジョンに籠らせるべき、と存じます。」

・・・・ダンジョン?そう言えば知見寺と木滝は転移時に結構レベルがあがり、その後も帝国内でレベルが上がり、確か9だったよな。

冒険者としてやっていくのに十分なレベルだ。


そして女性だが・・・・

全員魔術師。

しかも攻撃特化らしい。

なので、魔物と十分戦えるはず・・・・


「街の外の魔物ではなく、ダンジョンなのか?」


街から一歩外へ出れば、そこはいつ魔物が襲ってきてもおかしくない場所。


街は魔物や侵略者から護るため、高い塀に囲まれている。

なので魔物が街に侵入する事はまれなのだが、外に向かうなら、自ら戦う必要がある。もしくは護衛を雇う必要がある訳で。


「この者達は、この街周辺に不慣れでございます。わざわざ人を割いて指導するほどは、こちらに時間はございませぬ。」


扱いが特殊な面々だからな。

「それで?」


「ダンジョン・・・・領地のダンジョンで、魔物と戦わせ、素材を回収させます。彼等にはそれだけの技能がございます。2パーティ、編成は偏りますが、それぞれ男性がリーダー、彼らは装備さえあれば前衛で戦えるでしょう。そして女性ですが、様々な魔法の適性があり、攻撃特化とは言え、補助魔法も十分に扱えます。ですので、上手く分ければ偏った編成でも問題なく活躍できるでしょう。」


ダンジョンか・・・・色々な素材があるからな。

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