第597話 辛いな・・・・

いくつになっても我が子を失うのは非常につらい・・・・


そうは言っても、息子はもう120過ぎ。


老衰だ。こればかりは仕方がないとはいえ・・・・


世津は、息子を前にして、にこやかに微笑んでいる。


内心は・・・・泣きたいのだろう・・・・


だが、最期の思い出が、母の悲しむ涙では・・・・

なので世津は、一生懸命微笑んでいるのだ。


もう数分の命。そこに母の微笑みが見えれば・・・・幸せだろう・・・・


「ああ・・・・お母さま・・・・僕が小さい時は・・・・いつもその笑顔で居てくれましたね・・・・僕が大きくなってもです・・・・」


「そんな事はないのよ?」


「お父様・・・・僕は・・・・兄ほどの能力が無かったばかりに・・・・」


「何を言ってるんだ?俺が開拓した領地を一生懸命育ててくれたじゃないか。」


「そうでしたね・・・・」


「お父様・・・・お母様・・・・ありが・・・・とう・・・・最後に・・・・あえて・・・・しあわせ・・・・」


・・・・120過ぎなのだ。大往生ではないか。


だが・・・・止めどもなく涙があふれる。


「・・・・あの?初代さま?おおおじいさまに会ってくれてありがと。いつも初代さまとお母さんの事を自慢していましたよ?私、会えてうれしいのですよ?そして・・・・おおおお母さま?とっても美人で嬉しいです、そしてありがとうです。だって・・・・私達が整った顔立ちをしているのは・・・・おおおお母さまのおかげなんですね。」


・・・・・この少女は・・・・?玄孫か?


分からん・・・・


「あの、もし何かお手伝いできる事があったらいつでも仰って下さいね?1人ぐらい初代さまの元へ行っても誰も文句は言わないでしょ?」


・・・・君の気持は嬉しいが・・・・連れていく気はないぞ?


「残念ですが・・・・連れてはいけません・・・・ですが・・・・貴女には何か特別なものを感じます。近い内にまた会えるでしょう・・・・」


「本当?また会えるの?」


「ええ・・・・そんなに長くはかからないうちにですよ?」


「嬉しいわ!」


「おい世津良いのか?」


「ええ。私の勘がそう言っていますから。」


・・・・世津の勘だが実は鋭い。なので・・・・また近い内に会えるのだろう。


「・・・・時間だ・・・・」


「・・・・残念ですが、私達は現世に長く留まる事を許されていないのです。もっと皆さんとお話をしたかったのですが・・・・・さようなら・・・・私の子らよ。」


「さあ行こう・・・・では皆、領地を頼むよ?」


時間切れになったので・・・・神界へと戻ってしまう・・・・


世津はにこやかに手を振っている・・・・俺と世津の子孫が皆朗らかに・・・・


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