第476話 やっぱり理解できないなあ

何だかなあと思って、シビルを見ると、シビルも困った様子。だが、その目は困った所か、デアさんを鋭く見据えている。


その、親の仇かもしれないんだよな。

もしくはその情報を握っている、もしくは対処方法を知っているとか・・・・


白河さんがデアさんを落ち着かせているが、その手がその・・・・スカートの中に入り込んで、大事な所をまさぐってるのは見なかった事にしとこう。


「ちょっと、こんなところで・・・・」


「何だよデア、この前君は、人に見られながらだったら、興奮しそうって言ってたじゃないか?」


「だって、そう言えば興奮しそうだったから・・・・」


・・・・俺達は当て馬か?


暫くして、白河さんがスカートから手を出し、珠を取り出し、渡してくる。


え?ちょっと、できたてっすか?ちょっと女性の股間から出てきたものを、そのまま受け取るのって困るんですけど・・・・妻達の目の前だし。


すると驚く速さでシビルがその珠を奪っていく。


「これが・・・・もしやこの珠で・・・・」


そうしビルがつぶやいてる。

そして白河さんがシビルに言い聞かせている。


「悪い事はい言わない。その珠は使わない方がいい。」


「何故!なぜいけない!」


シビルが白河さんに掴みかかっている。


それを平然と受け止めてる。


「以前それを勇者君が使ったら、3日寝込んでしまったよ。あ、魔王にも使ってみたけどねえ、あれは可哀想だったねえ。」


何故か遠い目をする白河さん。あれは聞いちゃいけないやつだ。


「だが、それは持ってってもいいよ。もしかして何かの役に立つかもしれないし、ひょとしたら珠を触媒にして、活路を見出せるかもしれないからね。」


そんな事を言う白河さん。


そしてしばし時間が過ぎ、デアさんが我に返る。


「あは!何してたんだっけ?あ、そうそう、貴女シビルさんと言いましたか?女神をどうしたのか、今どうしてるか聞いても?」


「女神は私が預かっている。拘束こそしているが、危害は加えていない。勿論処女を奪うとか、無粋な真似はしていない。」


「そう、まずは一安心。で、解放してもらえないかしら?」


今までのとぼけたデアさんが一変、凄く迫力ある雰囲気に。


「世津さんと私の、女勇者と女魔王の絆を解除してくれるなら解放してもいいけど。」


「それは私にはできないわ。だけど、ひょっとしたらという方法はある。」


シビルの目もだんだん険しくなる。


お互い獲物を狙う獣のような目だ。


「そんな方法、本当にあるのか?」


「分からない。ひょっとしたら、と思うだけだから。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る