第464話 とある少女の物語 その4

遂に実行に移す時が来た。


女神の現在追いやられている状況を考慮に入れると、今しかない。


私はメールで、普通なら絶対に食いつかないであろう文面で、女神を誘った。


はっきり言って何であんなくだらない文面で食いつくのか、理解に苦しむが、長年女神を調査し、精査し、考慮に考慮を重ねた結果得られた結論。


女神が百合である事と、何処か普通と外れた感覚、現在ミスを挽回しようと、さらなるミスをして上司に折檻され・・・・お尻ぺんぺんとか、それでいいのかと思うけれど・・・・精神的に追い詰められている女神に、少し救いの光を投げかける、ただそれだけ・・・・


何度かのやり取りの後、実際に接触する段取りが整った。


何故か女神の上司が私の現在いる星に住んでいるのが驚きだが、女神もまたこの星に居たことは僥倖だった。


私には他の星へ移動する手段が無いからだ。


どうやらこの星には、他の星に移動する手段を持ち合わせている人物がいるようだが、私には縁のない人物だ。


なにせ魔王を遥か彼方、宇宙の果てへ送り込んだ張本人。


今後も関わる予定はない。しかも女神の上司といい関係らしい。


そして・・・・前もって会う予定の場所を建築し、女神に気付かれぬよう、魔道具でしっかり隠蔽し、さらにその魔道具すら隠ぺいする魔道具で二重に隠蔽し、女神がやってくるのをひたすら待った。


先ずドアノブに仕掛けを。


女神の事だから、そのままドアノブを握るだろう。


相手は屑とはいえ、神だ。普通の手段ではどうにもならないだろう。


なので、私が調合し作った変化の薬をドアノブに仕込んでおいた。しかもわざとチクりとした痛みがあるように、わざと古いドアに仕立て上げ、不自然さが無いようにもしてある。


「いたっ!」

女神は見事に私の調合した薬を体内に取り込んだ。


「あら嫌だ、とげが付いてたのね、気をつけないと。あの人が怪我してなかったらいいのだけど・・・・」


そんなつぶやきが聞こえる。

上手くいった。とげに意識が向いて、とげに仕込んだ薬に関して何も考えていなさそう。


そして私は今、最大限女神の好みに合うような外観に仕立て上げている。


魔道具で姿を変え・・・・きっと私の姿は口田士門とのやり取りの中で一度は目にしているはず・・・・なので、口田士門と女勇者(候補)と一緒に居たという痕跡を見せてはならず、髪の毛の色、耳を隠し人間のように見せ、顔はまあ・・・・そのままでも良さそうなので、瞳の色を変え、さらに魔道具で認識阻害と魔道具を使っている痕跡を隠す複数の魔道具で完全に姿を変え、女神の前に姿を現す。



「あ、いらっしゃい!待ってたわ!」


・・・・何でこんな発言をしないといけないのか・・・・屈辱だが、ここは・・・・一族の無念を果たす重大な時。

我慢よ・・・・

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