第451話 イベッテ、レシティアにお灸をすえる

「レシティアって何しに来たんだ?」


俺はイベッテに聞く。


「どうやらこの街のギルドの職員になったようです。」


「・・・・偶然?」


「いえ・・・・本人がごり押ししたようです。」


「いいのかそれで?」


「たとえ国の姫でも、いけませんね。なのでさっきお灸をすえておきました。まあ、当面はおとなしくなるでしょう?」


・・・・一体何をしたのか、怖くて聞けない。


暫くして、レシティアが顔を出してきた。


「ギルドへ帰るのじゃ。」


何があったのか、2人だけが知る事実?

この件に関して、2人から語られる事はなかった・・・・


・・・・後でギルドに顔出してあげよう・・・・・



「士門!わざわざ我に会いに来てくれたのか!嬉しいぞ!」


先程とは打って変わってご機嫌なレシティア。


俺に抱きついてくるので、受け止める。


「む・・・・そこは俺もレシティアに会いたかったのだ!と言いながら抱き返すものじゃ!」


「いや、この衆目でそんな勇気ないから。」


・・・・今更?みたいな目で見ないでくれよ、受付嬢さん方。


「それにしても、随分人数が増えたな?どうしたんだ?」


俺はここの中心者に聞く。


「あ、口田様、そろそろこのギルドも、街の規模に合わせ、商館などを設けようと思いまして、今はそのために増員中ですわ。」


「ああ・・・・まあまあ広い建物だが、やはり別にしたほうがいいか?」


「ええ・・・・特に商館は、独立させた方がいいですね。色々手続きが多いのですよ、商人は。」


ああ、わかる・・・・取引時の手続きとか、最近は他国との交易があるからな・・・・

あれがなかなか面倒なんだよ。


それに、扱うものが違うからな。

ここは冒険者も多いし、商人と冒険者は、ギルドに対し、求めるものが違うんだよな・・・・


なので人口の多い王都は、色々なギルドが別の建物で、別の名称で運営している。


一見同じ建物で全部してくれていた方が便利に見えるが、そのじつ、そんな運営を人口の多いところでやっていたら、何かあるたびに、常に並んでおかないといけないし、受付が専門の知識をすべて持っているとは考えにくいので、結局専門の知識、特化した知識を有しやすい専門のギルドを活用した方が利用者にとっては便利なのだ。


それに、受付もすべての知識を覚えずに済み、負担が少なく済むので、好評だ。


ま、中にはスーパー受付嬢が居たりして、あらゆる知識に長けた人というか・・・・たまにいるだろう?ほら学校とかだと、クラスとか、学年に一人や二人。


そんなのもあり、いよいよクチタ領のギルドも特に反対意見が無い限り、ギルドがいくつかに発展する事となった。

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