第364話 着の身着のままでやってくる人々
王都とティンドール、およびその周辺から移住希望者は概ねやってきた。
比較的近い距離なので、何も問題なく受け入れたのだが・・・・
領地の施設が完成し・・・・つまり俺が領地を貰って、半年以上・・・・いや、半年前にはすでに色々だったからな・・・・
実質もっと前から受け入れを始めていたわけで。
当然商人の方にも話が行っており、今の店では芽が・・・・才能があっても独立できない人々が、俺の所にやってきて、ある人は住み着き、ある人は行商をしていく。
そして・・・・この行商をする商人だが・・・・国内は、言わずもがな、国外へも俺の領地の事を伝えていってるようで、それを聞いた貧しい人々が、徒党を組んでやってきている。
村で酷い扱いを受けていた人、飢饉や天災、魔物の襲撃で住んでいる土地を追われ、スラムで暮らしていた人々等々。
ここからも距離が随分あるので、行商人が遠方に話をしても、それは数か月かかっているわけで、そこからさらに徒歩でやってくるとなると・・・・数か月から半年、かかっている人もいる。
幼い子供を連れた女性や・・・・中には大人に守られながらやってくる小さな子供の集団。所謂孤児。戦災孤児なのかどうかはわからないが・・・・
そう言った人々が辿り着くのは容易ではなく、中には道中力尽き、また病気になり、魔物に襲われ・・・・たくさんの人々が死んだらしい。
俺が知ったのは・・・・そういった集団をたまたま見かけたからだ。
農地を広げようと・・・・比較的領地の端までやってきてたのだが、道の向こうから、数百人がやってくる訳で。それも皆疲れ切った表情、明らかに健康を害している人々。
ぶっちゃけ知っていたら・・・・もっと対応できたのかもしれないが、今目の前に現れた・・・・移民?避難民?難民?よく分からない集団・・・・このような人々が俺の領地を目指しているとは気が付かなかったんだよ。
今回は神獣2体・・・・ヨハンとミシェレ、世津と三津枝、獣人3人エミリー、ソフィー、ナタリーと来ていたので・・・・
「なあどう思う?」
「儂らは知らぬ。関わらぬぞ。木を切れと言われればやってやらぬでもないが、直接人には関わらぬぞ。関わっておってはきりがない。」
ヨハンはあっさりかかわりを拒否。
「申し訳ないけど、私も無理ね。土間法で簡単な住居なら作ってもいいけど、直接は何もしないわよ。」
・・・・どうやら神獣は直接関わりたくないようだ。
「何とかしようぜ!」
「先ずは聞いてみませんとお・・・」
「そうだよね。でも・・・・ようやくここに辿り着いたみたいだけど。」
そう言う3人。
だが、世津と三津枝は固まっている。
「どうした?」
「いえ・・・・今まで見た事が無かったので・・・・テレビで、難民のニュースを見ても、他人事だと思ってました・・・・」
「そだよね。私も初めて見たけど・・・・助ける?一度助ければ、この後もどんどんやってくるよ?」
・・・・今は土地も財力もある。そう、今は助ける事が出来るが・・・・
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