第393話 ヴィヴィの後遺症

その後、ヴィヴィは目に見えて回復し、まだ体は病的な細さが回復しきれていないが、どうやら記憶の方は、ある程度戻ったようだ。


治療した時は、スキルの影響で、記憶がごちゃ混ぜ、混乱等々で、訳が分からない感じだったが、暫く落ち着かせると、安定してきたようだ。


それと・・・・スキルの影響なのか、彼女の性格が突然変わり戸惑う。


「口田様、ご機嫌麗しゅう。」


「口田様、治療をしていただき、感謝いたします。」


・・・・ちょっと前まですげー高飛車な態度だったんだが?


「そうですか・・・・まだアニさまには会う事が出来ませんか。治療までしていただいているのに、これ以上はいけませんね。」


そうかと思えば・・・・


「ごめんなさいごめんなさい、もうしません赦して・・・・」


「痛くしないで・・・いや・・・怖い・・・・」


またある時は、


「なにやってんのおっさん!」


「ちょっと何エロい視線こっちに送ってんのよ?」


・・・・多重人格か?折角回復したと思ってたのにな・・・・


シビルもこればかりはわからないようだ。


そんなある日・・・・1人のヴィヴィ?がやってきた。


「口田殿、少し宜しいか?ヴィヴィについて話しておきたい事があるのだが。」


「え・・・君ヴィヴィだよな?」


「ヴィヴィで間違いはないが・・・・ヴィヴィであってヴィヴィではないのだ。まあ、此処ではなんだ、奥で話そう。」


・・・・・よく分からんな・・・・



「すまぬな口田殿、忙しいのに時間を割いてもらって。」


「それはいいが・・・・・なんだ?」


「うむ、ヴィヴィについてだが・・・彼女には厄介なスキルがいくつかあってな、その内のひとつが空想スキルだ。」


「ああ、何か凄いスキルみたいだな。」


「あくまで空想だ。だが彼女のスキルは、空想した事が現実に・・・・と言っても、実現可能な事柄だけだがな・・・・」



「何気に凄そうだな。」


「そうは言ってもな・・・・突然”想い人との間に3人子供がいる”や、”星空に輝く星を手に入れる”等々どう考えても無理なのは駄目だが・・・・今回のように、身内の元へ突然現れる・・・・は、転送スキルがあればできる・・・・が、彼女は持っていない。だが、空想で出来た事が、一時的に実現できるのが彼女の凄い所だ。勿論、代償は大きいが。」


「・・・・なんとなく言いたい事はわかるが・・・・それで?」


「うむ、そこで彼女は見事やり遂げた訳だが・・・・代償が大きくてな、彼女の場合は、人格が崩壊するのだ。」


「え?それ駄目な奴じゃないか?」



「だが・・・・対策をすれば何とかなる。残念な事に彼女の準備は不十分でな、こうして複数の人格が発生してしもうた。」


・・・・どうしろと?


「口田殿のおかげで回復ししつつあるのだが、分裂した人格をひとつにせねばならぬ。そこでだ、彼女は今の人格がこういった作業に適しているのでな、もう少しで一つに収まるのだ。」


「よく分からんな、何で俺にそれを言う?」


「彼女は色々知りすぎてな、そのせいで大変な目にあった。そこで彼女は精神に防御を施した。だから最終的にはいくつかの人格が残ったままになってしまうのでな、何とかこれを取り除き、一つにしてやってほしいのだ。」


「・・・・まあ、やってもいいが・・・・」


「助かる。これより・・・・彼女は口田殿に対し、よい感情が大きくなるだろう。どうか受け止めてやってくれ、愛しい人・・・・すまぬが時間だ。もう会う事はあるまいが・・・・色々感謝する。」


・・・・最後にそう言って・・・・彼女は・・・・俺に倒れ掛かるようにして気絶した。


数日後、恥ずかしそうにしている彼女をたびたび目撃する事になる。

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