第392話 ヴィヴィの目覚め

「口田さん、女性の方も目が覚めたようですよ?」



そう教えてくれる看護師さんの1人。


「ありがとう、そっちに行くよ。あ、まだ休んでいたほうがいい。何かあったらこの女性達に言えばどうにかしてくれると思うから。」



「ああ、ありがとう。今の状況がよく分からないから、少し考える時間があるのは嬉しい。」


違和感を感じつつ、俺は部屋を出た。


そして・・・・


別の部屋に入ると、そこにはシビルとおしゃべりをしているヴィヴィがいた。


「口田さん、ヴィヴィさんはもう問題ない。」


シビルがそう言うが・・・・いや、まだ駄目だろう、肉体的に。細すぎる・・・・


「あ、気が付いたようだな。体調はどうだ?」


「・・・・貴様が口田とか云う野郎か!我が裸体をよくもみたな!破廉恥な!」


そう言って俺に枕を投げつけるヴィヴィ。そんな病的に細い腕では威力なんて・・・・いてえ!


ただの枕が・・・・痛い。あ、魔法を使いやがったな。


「・・・・痛いじゃないか、えっとヴィヴィさんだったな。あんた何処まで覚えてる?」


「言ってる意味が分からぬが、すべて覚えておるわ!」


「・・・・じゃああんた、ボースマ王国へどうやってきたのか覚えてるのか?」


「うん?何を言っているのだお主は。ここはパールメース帝国であろう?」


「・・・・あんたも覚えてないのか・・・・ところであんた、病気してたのか?」


「あんた呼ばわりするでない!ああ、我は確かに暫く寝たきりだった・・・・ああ、思い出したぞ!スキルだ!スキルを使ったのだ!あのスキルは何かと危険でなあ。そういえば・・・・我はあにさまの所へ向かう空想をしたのだが・・・・失敗したのか?」


「いや、成功した。突然目の前に現れたからな。」


「なら良い・・・・・あにさまは?」


「アウグスティンと名乗るやつの事か?あいつなあ・・・・洗脳されてたっぽいが、何か知らないか?どうやら洗脳されてる間の記憶が無いようなんだよ。」


「なんと!やはり洗脳だったか!そうだ!そなた、あの2人と同じような・・・・黒髪黒目・・・・あ奴の仲間か?」


「・・・・誰の事か見当はつくが、仲間じゃないぞ?一度?対峙して追い払った。」


「・・・・では今はいないのだな?あの2人が現れてから、帝国は変わってしまった。あにさまも弟も・・・・妹も・・・・そして、父上までも変わり果ててしまってな。何とかしようと思ったのだが・・・・」


いかん・・・・興奮してるな。


「まあ落ち着いて。あんた自分が思ってるより体力落ちてるはずだ。先ずは休んでくれ。少しは女性らしい体つきになるぐらいは回復してほしい。」


「いやらしい目で我を見るでない!スケベ!それよりあにさまに会わせろ!」


「今は無理だな・・・・アウグスティンも暫く静養しないといけないから。」


「・・・・疲れた・・・・寝る・・・・」


何だか火のような女性だな。赤い髪の毛がそう連想させるのか?

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