第387話 空想スキルの弊害

空想スキルはとんでもないスキルだが・・・・


現在の彼女の健康状態で使用すると、副作用が酷い。これは彼女の持つ認識阻害のアイテムのせいでもある。


彼女は女性2人に引きはがされたと思っているようだが・・・・実際は倒れそうになったのを2人に助けてもらっていたのだ。


そして、彼女は色々喋っているつもりなのだが、殆ど声にならない声しか発せておらず、周りから見れば、今にも倒れそうな、青白い顔をした、病人にしか見えない。


その彼女が突然目の前に現れ・・・・倒れていた相手に覆いかぶさるように倒れかかったのだ。


それを見た世津と三津枝が抱え起こし、介抱していたのだ。


俺は・・・・そんな突然現れた女性に目を見張る。


色々おかしい。何がって彼女の存在自体が、だ・・・。


此処に居ないはずの彼女が存在している・・・・そんな感じ。


しかも病的な身体の細さと、青白い顔。


まともに喋っていない。


これはまずいな・・・・


俺はすぐさま彼女を治療する事に。


だが・・・・・そこへ立ちはだかる?世津と三津枝。


何で?と思ったが・・・・


「先ほど救助した3人の看護師さんにやってもらいましょう!」


・・・・世津らしくない答えが返ってきた。


そんな訳には行かない。


俺は・・・・船を出し、世津達から彼女を奪うようにして抱きかかえ、中へ入る。


急いで追いかけてくる世津と三津枝。


俺はベッドに彼女を寝かす。


彼女の眼はうつろだ。


何か言っているが・・・・何を言ってるか分からない。


「俺の声が聞こえるか?君は今危険な状態だ。はっきり言って放っておけば死ぬだろう。だが、俺は回復魔法が使えるので、今すぐ治療を開始する。いいね?」



聞こえてるのか、理解してるのかは分からないがそう声をかける。


そして・・・・目を見開いたかと思うと、どうやら気絶したようだ。


世津と三津枝が、タオルケットを用意し、彼女の上に掛け、衣服を脱がす。

装飾品も取っていく。

はて、彼女の姿は元に戻らない。


この段階で、シビルに調べてもらう。


彼女は・・・・何か、魔力に異常があるようで、そして、何かが彼女の健康を阻害しているようだと。


それと・・・・装飾品のうちのひとつが何やら怪しいらしい。

俺も鑑定でアイテムを調べるが、特におかしい所はなさそう。


変だな。


そう思いながら・・・・回復魔法を使う。


タオルケットを外し、裸になった彼女を抱きしめる形になるのだが・・・・勿論?こっちも裸だ。


だが・・・・何故か目隠しをされる。


見る必要ないよね?だって。


まあ見なくてもいいけど・・・・わああーーーーと思った。彼女の太ももが・・・・細すぎたのだ。

俺の腕ぐらいしかないぞ?

いくらなんでも細すぎだろう?


全身くまなく・・・・・治療が終わった彼女の顔色が良くなり、髪の毛も艶が増し・・・・見事な赤毛になっていた。


やせこけた頬は元に戻るのに時間がかかりそうだし、細すぎる身体がふっくらとした女性特有の丸みを帯びるのもまだ先のようだが・・・・ごめん、まさかの胸の脂肪がほぼ無かったのも驚きだったが・・・・その内ちゃんと戻るかな?戻るよな?


何とかなったが・・・・何かおかしかった。治ったのだが、毒?それともアイテムのせい?


何やら彼女の健康を損ねる何かが・・・あったのではと思ってしまう。

恐らくは何か仕込まれた。


この後1週間、彼女は目を覚まさなかった。

目を覚ました時は・・・・すべてが大きく動いていた。

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