第355話 Side エミリー 2

あれ?何か聞いてはいけない事だった?凄く辛そうなお顔をされてますね?


「ああうん・・・・自分の部屋に今はいるんだけど・・・・たまにあるのよ、士門さんって。どうも精神のバランスがおかしくなる事があってね・・・・特にスキルと魔法を使いすぎると顕著に顕れるのだけど・・・・私達は能力の使い過ぎのせいだと思ってるのだけど・・・・ああなると暫くは会えない。」


私は何て事を言ってしまったんだろう・・・・


「いけません!今すぐ、会わせて下さい!きっと旦那さまも苦しんでます!誰かが・・・・手を差し伸べないと!」


後で凄く後悔しちゃった・・・・とんでもないわ・・・・雇い主である旦那さまとそのご家族に対してなんて態度を・・・・


でも、三津枝さんは・・・・


「会ってみる?私達は何度も慰めたりしたけどね・・・・ああなると放っておくのが一番って思っちゃってるから・・・・付いてきて。」



案内されて、旦那さまのお部屋の前に。


三津枝様がノックをしたけれど・・・・ガタって音以外反応はない。


そっとドアを開けてくれて・・・・中を見ると、真っ暗なお部屋の隅で、ガタガタ震えて顔色を失った旦那さまが立っていた。あ・・・・倒れる!

咄嗟に部屋に駆け込み、旦那さまを抱きかかえる。

何故か涙が溢れちゃって・・・・


旦那さまは私を治すのに・・・・自身の心を犠牲に・・・・代償に・・・・やがて・・・・ブルッと震え・・・・怯えた顔をして・・・・意識を失われた。

世津様たちが急いで医務室へ連れて行って下さったわ。

どうしたら・・・・?


どうしたら良いか分からない私は、三津枝様に聞いてみた。


「えっとね、エミリーさんは気にしなくていいの。無理にスキル多用しちゃうとあの人何時もこうなるから。数日で元に戻るから安心して?それより、足・・・・まだ慣れないでしょ?歩いて慣れといて。士門さんが元に戻った時、エミリーさんがコケないで歩く姿を見せれば、きっと喜ぶ。」


・・・・いつも・・・・?いつも旦那さまは無茶をするのかな?人の為にこんなに自分を犠牲にし、無茶をする・・・・・こんな人がいるなんて・・・・しかもその相手がまさかの獣人・・・・?しかもしかも!私が?信じられません・・・・


歩いてみると、調子がいい。何か、身体が真っすぐになったような?

今まで真っすぐに歩けなかったから、今この・・・・まっすぐ歩けるという感動。

今できる事が何か・・・・分からないので、妹たちのと所へ戻る。


・・・・

・・・

・・


「俺達が獣人じゃあなけりゃあ・・・・旦那を抱きしめ、求めてくりゃあそのままヤッてもらうのが手っ取り早いんだけどよ!獣人相手じゃあ・・・・流石の旦那も抱かれちゃあ迷惑だろ?」


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