第354話 Side エミリー 1

・・・・何だかフワフワした気持ち・・・・


そう思って、そのまままたうとうとしていたのだけれど・・・・


何かが私を目覚めさせる・・・・逆らったけど・・・・駄目ね・・・・起きちゃった。


「あ・・・・姉貴!気が付いたか!よかった!あのままもう目覚めねえんじゃないかと思っちまったぜ!」


「よかったあ・・・・私はあ・・・・信じてましたよお?お姉さまはあ私達を置いて・・・・先に逝ってしまわないってえ・・・・」


・・・・え?なになに?何が起こってるの?


私は・・・・ベッドの上で寝てた?


あ、そうだった・・・・足を・・・・見てもらって・・・・それからは・・・・覚えてないな。


恐る恐る足を見て見る。いつもの足だ?ちょっと違和感あるけど。

指を動かしてみる・・・・うん、動く。足首も・・・・動く。膝は・・・・うん、両膝共にきちんと動くね。


太ももは・・・・大丈夫そう。そっと・・・・足を持ち上げて・・・・上がる、曲がる。感覚もちゃんとある。

太ももを抓ると・・・・ちゃんと痛い。


起き上がって・・・・体の向きを変えて・・・・足を床に降ろす。

ベッドを支えに・・・・立ってみる。

うん、きちんと立てた。すぐにソフィーとナタリーが、私の両肩を支えてくれる。

ありがとう・・・・


足ふみしても大丈夫ね。

ちょっと歩いてみる・・・・うーん・・・・歩けるけど・・・・少し左足が変?えっと・・・・いや、これは・・・・今までが変だったんだわ。だって・・・・まっすぐ歩けますもん。

いつもは・・・・数歩歩いただけで、足がもつれてしまって・・・・

今はそれが無い!何て言う事でしょう!旦那さまが治してくれた?


それによく見ると・・・・太ももの毛をかき分ければ、傷だらけだった足の傷が見当たらない。


凄い・・・・私は左足を見る時、この時だけは自分が獣人だって事に・・・・感謝していたのだけど・・・・今は、そのキズが無い!私の密かな劣等感が・・・・


旦那さまは・・・・一生感謝してもしきれないご恩を・・・・・このご恩は・・・・どんな事があっても必ず・・・・

あれ?その旦那さまが・・・・いない。どうしたのかしら?


えっと・・・・旦那さまの奥様方が、世津様と三津枝様、シビル様はいるのだけど・・・・

ちょっと世津様に話しかけるのは勇気がいるわ・・・・三津枝様は・・・・ダンジョンでよく素材を集める時に話したから・・・・三津枝様に聞いてみましょう・・・・


「あ、あの・・・・三津枝様?旦那さまはどちらにいらっしゃいますか?お礼を言いたいのですが・・・・」


「あ、エミリーさん、足大丈夫?」


「ええ・・・・ちゃんと動きますし、感覚もありますし・・・・何より歩きやすいんです!お礼を!お礼を言いたいんですが・・・・どうしたのでしょうか?何処にいらっしゃるのですか?」



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