第341話 妻の油断

王都の温泉施設からの緊急報告を受け、現場へ駆けつける妻’S


緊急と言っても、もう日が変わって明け方・・・・


「貴女達、なんて事をしてくれたんですか!」


当時の受付に怒り心頭のイベッテ。


因みに報告をしてきたのはノエラ。

ヒルダは消えた4人の行方を必死になって探している・・・・

なにせ、宿に向かったと聞いて、その宿・・・・施設に隣接している・・・・に向かったが、4人はもぬけの殻。


仕方なく、イベッテの元へ向かったのだが・・・・


「受付の報告では、獣人・・・・それも、犬人族ですよ!しかも!貸切風呂へ向かったそうですが、何故かそこには酒が水の代わりに設置していて!しかも士門さんがそれに気が付かずに飲んでしまったとか!士門さまは飲めないんですよ!あああああ!そして・・・・恐らく士門さんは知らなかったでしょうが、犬人族の異性の・・・よりにもよって、耳に触れ、しっぽを掴んだとか・・・・どうしてくれるんですか!」


怒るイベッテ・・・・だが、世津、三津枝、佐和はなぜそんなにイベッテが怒るのか分からない。



「ねえイベッテ?私達は分からないのだけれど・・・・獣人って何かしら?それに、その獣人の・・・・耳と尻尾?に触れるとどうなるのかしら?」


「あ・・・・そうね、佐和達は知らないよね・・・・やはり・・・・士門さんもやはり知らないか・・・・獣人はね、人と獣の特徴のある人なのよ。人より身体能力に優れ、機敏で器用。しかし・・・・頭の方は・・・・ちょっと残念になりがち・・・・そんな彼・彼女らには、獣の耳と尻尾があるのよね。しかし・・・・こんな温暖な気候の所に犬人族が居ようとは・・・・もっと寒い場所に住んでると思い込んでいたわ。」


静かに聞く3人。


「そして・・・・ここが重要なのだけれど・・・・耳と尻尾は犬人族にとって弱点であり、急所のひとつなのよ。なので、普通は絶対に触れさせないのよ。余程の時か・・・・つがいを得る時のみ許すのよ。耳だけなら・・・・耳は求婚。そして・・・・その後にしっぽを握らせるのは・・・・求婚に応えた証拠。」


・・・・絶句する3人。


士門さんなら・・・・有り得るわ・・・・と思えた3人だった・・・・


・・・・

・・・

・・


「え?ちょっと待て・・・・俺そんなの知らないよ・・・・?」


「はあ?何言ってるんだ旦那!あんなに激しく求婚したくせに!しかも・・・・油断してた俺達がいけないが、しっぽまで掴んだじゃねえか!もし旦那が貰ってくれなけりゃあ、俺達一生未婚のままになっちまうじゃねえか!」


「ごめん俺の常識からかけ離れた話だわ。つまり俺は・・・・君達3人に求婚したうえに、無理やり承認させたって事か?」


「ひどいですう・・・・でもまあ・・・・旦那って・・・・強いんでしょう?強いオスにはメスが集まるから・・・・仕方ないわねえ・・・・」


「私達これからどうすればいいんですか・・・・今日から何処で暮らせば・・・・?」


・・・・どうしてこうなった?


ちょっと耳と尻尾をモフってみたかっただけなのに・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る