第310話 修復の交渉

「なあ、俺があんたを修復したとして、俺に何かメリットがあるのか?」


【口田様の発言を訂正いたします。私を修正する必要はございません。修正を依頼しているのは、ダンジョンのシステムの一部です。そしてメリットは、先程の発言の通り、ダンジョンの崩壊を防ぎ、魔物が外へ溢れる事態を防ぐ事です。】


「それ俺にとってメリットなのか?あんたがその・・・・更新できなくなって困るのは50年後だろう?今から50年も経ったら、俺生きてるか分からないよ?」


【口田様の発言に意見を。口田様の寿命はまだあと70年程ございますので、充分生きていられます。】


「そうか?まあ・・・・ここの魔物ぐらいなら、溢れても俺なら仕留める事が出来るからなあ・・・・」


【口田様の実力から言えば、その通りでございます。では、システムの修復は拒否されますか?】



「えっと、直さないとは言ってないけど・・・・ここのダンジョンて出来てどれだけ経ってるの?」


【ホムンクルスの寿命は個体差はありますが概ね約80年。ξタイプはわたくしで243でございますので、私が30年です・・・・そして成人するまで20年ほどかかりますので、14550年ほど経過しております。】


・・・・なんだそりゃ?



「かなり古いね・・・・で、俺が直すとして、依頼料というか、報酬は何?」


あ・・・・俺さらっと聞き流してたけど、確か此処・・・・つまり今居る場所、俺が初めてって言ってたよな?


【どのような報酬をご所望でしょうか?】


「えっとその前に、君は更新されるとどうなるの?」


【通常次の個体を育成した後は、寿命まで共存するか、破棄されます。】


「じゃ別人なんだね?」


【別人ではありません。記憶を引き継いでおります。】


・・・・でも同時に生きてる期間があるんだよな?


「まあいいや・・・・キミの今の知識は、相当なものなのかい?」


【何と比べて相当かはわかりかねますが、10000年以上の膨大な知識を共有しております。】


・・・・じゃ知識の塊じゃないか。


「どんなものでも報酬はいいの?」



【取引可能でしたら大丈夫です。】


「じゃあ・・・・報酬に、君が欲しいと言ったら、貰えるの?」


俺は無理だろうと思いながら、ちょっと聞いてみた。

貰っても困るんだけどね。


【しばしお待ちください。システムにアクセス・・・・確認中・・・・過去に事例なし・・・・別星系のシステムにアクセス・・・・φファイタイプ154の過去に実績あり。】


・・・・よく分からない・・・・


【データベース参照・・・・わたくしが報酬・・・・可能なようです。システムが修復次第、244を起動、育成に入り、完了次第口田様へ所有者権限を委譲いたします。】


「え?可能なの?」


マジっすか?こんなのお持ち帰りしちゃったら、佐和達に何言われるか・・・・?


【わたくしは遠距離通信サポートが可能ですので、244と非接触状態でも更新が可能です。システム復帰後、育成オートマタにて対応可能。よろしくお願いいたします。】


へ?直しちゃうの?俺が?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る