第275話 王都はもっと大変な事に

王都の工場も完成した。


こちらはノエラとヒルダが中心にやっている。


「働き手は欲しいのでありがたいのですが・・・・もう住む場所がありません・・・・」


ノエラが言う。


ヒルダが


「人が集まると、物騒な事案も発生して、女性には危険があるかな?士門さん、何とかならない?」




そうなんだよな・・・・案の定というか・・・・

ノエラが言うように、あまりにもここで働きたいという希望者が殺到したため、既に住居は不足。


今住んでいる所から通える人には、暫く通ってもらい、身内や仲間と来た人には、一緒に住んでもらったりと、ティンドールと同じ対応をせざるを得ない。


だが、こういった対応をしても、陸続と人が来る。更に住む場所が不足する。


一体どれほど続くんだ・・・・?


王都はティンドールに比べ、人口も多く、周辺の街や村も多く、王都以外の人もここに沢山やってくる。


こうした人々の中には、よからぬ事を考えている連中もいるので、注意が必要だ。


差し迫っては、犯罪者を除外。

これはギルドで調べればすぐわかる。


それでもどうしても働きたい連中には、危険な仕事をさせたり、きつい仕事をさせたりしている。


犯罪者の更生も必要だしな・・・・


そう思うが、この世界、犯罪者には優しくない。かなり厳しい。

更生なんてもってのほか、一発レッドカードだからである。


そして、ティンドールもそうだが、王都”ブンバテユス”も含め、この周辺は未曽有の好景気に沸いている。


俺の店・・・・工場で、働く以外にも、その取引先や、建物を作ったり、道具を作ったりの職人にもかなりの仕事があるからだ。


俺は今金に不自由していないから、気にしていないが、相当金がかかっているはず。

まあ、最終的に自分に還元されるんじゃないかと思っているが、別にこれに関しては、儲け度外視でやってる部分があるからな。


現地の雇用の確保。


そして今、増えすぎた人をどうするか思惑中。


やはりスキル。


本人の希望もあるだろうが、適正は大事だ。


特にこちらが熱望している生産系のスキル。

薬関係を作れる人とか、素材を手に入れやすいスキルとか、加工のスキルとか。


そして、どうかとは思ったが、冒険者上がりの人の中には、素材集めの護衛や、ダンジョンに潜ってもらい、素材を集めてもらったりのメンバーも募集している。


尤も、死なすつもりはないので、俺謹製の武具を貸与し、安全に素材を回収できるようにしてもらったり。


何せ・・・・2000人以上が働きたいと来てるからな・・・・


もう捌き切れないので、早めに確保した人材に管理してもらっている。


執事候補だった人達だ。


そして、これだけ人が集まると、犯罪もおきる。ヒルダの指摘があったように。


特に狙わやすいのが、田舎から出てきた女子。


野郎共に捕まり、犯されたり・・・・

まだ死人は出ていないが、女性を無理やり犯した連中は、ちょん切ったうえに、奴隷落ち。

犯された女性は、回復魔法で治療し、避妊薬・・・・事後でも避妊できる薬があるようなので・・・・それを投与したり。


日本ではレイプされるとかとんでもないのだが、この世界の女性はそういった意味で強く、避妊が出来れば、気にしていない様子だった・・・・本当はかなりショックなのだろうが・・・・


なにせ、この事件があったせい・・・おかげ?で、優遇された女性は、寧ろ有難がった。

貧困から抜け出すのはほとんど絶望的なこの世界。

何か特別な事が無い限り、親から子へ、孫へ・・・・ずっと続くのである。


「私の初めてが、残念な形で終わってしまったけど、今はむしろ回復魔法のおかげで健康になったし、沢山のお給金が貰える場所で働けるし、そう、これは、必要な事だったんですよ!」


うん、本当に強いな、この世界の女性は。

あ、肉体的な意味じゃないよ?

まあ、逞しく生きているというか・・・・


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る