第268話 国王への報告

俺は、イベッテと、神獣3体を引き連れ、国王の元へと向かった。

城内で会う人々は、俺に割り振られた領地がどのような場所なのか知っているようで、避けていく。


そんな中、レシティアだけは俺に向かってくる。



「しもん~久しぶりなのじゃ~会いたかったのじゃ~どうじゃ少しは背が伸びたであろう?まだ胸はさほど膨らんではおらぬが、すぐにしもんの好みになってみせる・・・・ってその後ろのおなごは何じゃ!ちんちくりんのくせに胸だけはやたらデカいではないか!」


そう言いながらオデットに近づき、いきなり胸をもみはじめる。


【あん♪】


とか言いながら恥ずかしそうにするオデット。


「何じゃこれは全くけしからん!少し我に分けてくれぬか?」


いやそれ無理だろう・・・・


「ぬぎぎ・・・・覚えておれおっぱい星人め!いつかそのおっぱいを越えてみせる!」


そう言って去って行った・・・・


何だったんだ・・・・


【感じてしまいました♪】


何を言ってるんだオデットは。


途中セリノ王子を見かけたが・・・・俺を見るなり回れ右をしやがった・・・・

絶対あの土地が不良物件って知ってただろう?


俺達は邪魔される事なく、王様の所へとたどり着く。


側近らしき人達が俺に立ちふさがろうとしたが、俺がひと睨みすると、さっさと退散していった。


あれはきっと、俺を通すなって言われてたな。


俺は謁見の間の扉を開け、中へ入る。


一瞬にして部屋の中が凍り付くかのような静けさになる。


王様が・・・・


「お・・・・おう・・・・士門殿・・・・久しいな・・・・元気でやっておったか?」


と、オロオロしながら聞いてくる。


周りは、俺と王様の目を見ないように、明後日の方を向いている。


まあいいけど。

王様も、なるべく俺を見ないようにしているようだが、そのたびに俺が移動するので、あきらめたようだ。


「おかげさまで、何度か地面にめり込んだりと、大変でしたよ。」


俺はそう言うが、もう王様、全身汗びっしょり。

顔も見ているこちらが気の毒と思えるほどだ・・・・

だが・・・悪いのは向こうだ。


「そ・・・そうか・・・それはその・・・・大変だったようだのう。はて、そちらの3人は見ない顔だが、誰なのだ?」


これはいかんと話題を変えようとしたようだが、それは悪手だ。


「ああ、こいつらは・・・・俺が領内を視察している時に襲ってきた奴らでな、返り討ちにしてテイムし、今は俺の配下だ。」


そう言い放つ。

何故かミシュレとオデットが俺の両隣へやってきて、腕を取る。何がしたいんだ?

ヨハンはムスッとししかめっ面をしながら、腕を組んで睨んでいる。


「こ・・・彼奴らが・・・・神獣だと?誠か?あの恐ろしい神獣を、士門殿は手なずけたというのか?」


・・・・やっぱり知ってやがったな、このじじい。俺は神獣とは一言も言っていない。


「ほうほうなるほど、あそこに神獣がいるのを知ってたんだよな、国王さまは?イベッテ、どう思う?婿さんにこの仕打ちって?」


「お父様・・・・百歩譲って、神獣が闊歩するかの土地を、私の旦那さまへの領地にしたのはいいでしょう。ですが、かの地に神獣がいるというのを、知っていて隠しましたね?」


「イ・・イベッテ、それは違うぞ!」


「何が違うというのですか!」


国王に怒りをぶちまけるイベッテ。


「士門殿なら何とかするのではと思ったんじゃよ・・・・」


「だまらっしゃい!もう娘には会わせませんよ?」


「だ・・・駄目じゃ!それだけは駄目じゃ!孫娘に会うのがどれだけ楽しみにしていると思っとるんだ!年寄りを苛めるんじゃない!」


あまり次元の高く無い攻防が行われていた・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る