第252話 折角いい店なのになあ

「ああ・・・・残念だ。」


俺は〇▼◇に向かって言う。


「な・・・・何が残念なのだ?」


「だってさ・・・・いい店じゃないか、ここ。見させてもらったが、品物は、少し高いが、まあこんなものだろう。だが・・・・店員の接客態度は実によかった。あんたさえ余計な事をしなければな・・・・」


俺はそう言う。


「うぐ・・・」


「さて・・・・俺はこれでも侯爵・・・・一介の商人如きが、侯爵に刃向かうなど、あってはならぬ!」


俺がそう言うと、三津枝が駄目だしをしてくる。


「ちょっとそれ悪者の言うセリフ。」


悪者って・・・・


「さて・・・店は取り潰し、あんたは・・・・いいとこ奴隷落ちだな。」


「なにいい!それは止めてくれ!わしには妻子がおるのだ!それに従業員は悪くない!」


「ああ、そうかい。だが・・・・あんたの血縁者は、当然全員奴隷落ちだな。それとも・・・・死罪にしとこうか?」


俺はさらに言い放つ。


また別の輩が、悪さをしないとも限らないからな。なので、見せしめの為にも、ここは厳しくしないと。


「そ・・・そんなあ・・うぐぐぐ・・・・」


「それに、商館からパメラさんがやってきてるからな、言い訳はできない。」



「え?・・・・・わうぐぐ・・・・本当だ・・・・・・・何でだ・・・・どうして・・・・」


「どうしてって・・・・あんたが実力行使をしようとしたからだろう?欲のかきすぎだ。」


俺は世津達の方へ行き、


「まあ、こんなもんか・・・・そろそろ出ようか?」


俺は出口に向かって歩き出す。


パメラが付いてくる。

世津と三津枝もまだパメラの両隣に居る。


そして、パメラさんの所に着くと、先に行くように促す。


俺は敢えて無防備な背中を奴に晒したのだが・・・・


「こ・・・・このまま帰す訳にはいかぬ・・・・」


ここで大人しくしていれば、あるいは・・・・だったが、何を思ったのか、奴は俺に何かを投げつけてきた。



背中に当たり、何かがはじける。


背中に衝撃を感じる。

俺は・・・・この服のおかげで、何事もなかったが、周りは、かなり吹き飛び、凄い事になっている。


やってくれたな・・・・だがもうあいつは終わりだな。



「ははは!死ね!隠し玉は最後まで取っておくものだよ!」



そう言いながら、奴は俺が死んだと思ったのだろう。


流石に俺にダメージはないが、衝撃で倒れちゃったからな。


あーあ、もう取り返しがつかないな・・・・


密かに世津が居なくなっている。


きっとギルドか城へ向かったんだろう。


やつは、俺に近づき、俺が死んだとでも思ったのか、俺に触れて、ひっくり返してくる。


服汚れただろうなあ・・・・

浄化の魔法、後で使おうか・・・・


そして、俺はやつの目の前で、目を開け、


「残念だったな・・・・」


俺は起き上がる。


「ば・・・化け物か・・・・そ・・・・そうだ・・・金・・・金を上げるから、無かった事にしてくれんか!」


何をいまさら・・・・


「金は要らん。もう一生暮らしていける金を持っているからな。」


そして、騎士団が駆けつけてきた。世津がギルドへ知らせに行き、そのままギルドが城へ報告し・・・魔道具で・・・・騎士団が駆けつけてきたわけだ。


「さっさと歩け!」


「何をする!わしは〇▼◇だぞ!」


「だから何だ・・・・貴族に手を出した商人如きが!一族全員お前のせいで奴隷落ちだな。」


騎士の1人が〇▼◇にそんな事を言う。


あっという間に連れ去られていった・・・・


「お怪我はございませんか?口田侯爵さま?」


そう騎士の1人が尋ねてくる。


「ああ、大丈夫だ。」


俺は世津と合流し、帰宅した・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る