第250話 豚が慌ててやってくる

うわ・・・・脂肪の塊がやってきたよ・・・・


防犯カメラの映像より、肥えて見える。


何だこの塊は。


俺が冷めた目で見ていると・・・・


「こ・・・・これは・・・・口田様でございますか?私めは〇▼◇と申しまして、当商店の代表でございますが、わたくしめが何か致しましたでしょうか?」


顔が真っ青で、全身汗が噴き出ている。


「ああ、すまないね、いや、一寸昨日、貴方が我が商店を訪れてくれたようだが、あいにく店が閉まっていてね、何か入用だったのかと思ってきたわけだよ。」


「これはわざわざ恐縮でございますが、はて、夜中に口田様のお店に、私めが伺った、のでございましょうか?何かの間違いでは?」


「あ、うちの店でね、テイマーが暴れたんだよ。その後に、店の周囲に、魔道具を設置してね。常に映像を保存できるんだよ。で、まあそこに貴方が映っていたものでね、一応何か用事があったのではないかと思って、来てみた訳なんだよ?」


全身ガクブルのおっさん。

で、まだ白を切るのが、相当図太い奴だと実感する。



「えっと・・・・何かの間違いではないでしょうか?」


「いや・・・・そもそも俺、貴方が俺の店を訪ねてくれたのが、夜中だとは一言も言ってないよね?何で夜中なんだ?俺は単に貴方が訪れてくれた時に、店が閉まっていた、としか言ってないよ。」


「え?ですが・・・・先ほど店員が・・・・」


「あ、あの娘さんにも、貴方が訪れてくれたとき、店が閉まってたと言ったよ。時間は言わなかったんだが、何で夜中なのかなあ?」


あーあー、もうわかり易いというか、しまった!という顔をしてるよ。


「ああ、ついでにね、私の店は、建物はかなりの強化をしてるんだよ。ハンマーで叩いたぐらいでは、ビクともしなくてね。まあ後は、防火の処理もしてるから、燃えないよ?だが・・・流石に落書きまでは防ぐ事はできないんだけどさ。」


俺は止めとばかりに言い放つ。


「う・・あ・・・・ぐ・・・・」


声にならない何かを漏らすおっさん。


「しょ・・・・少々・・・・お待ち下さい・・・」


おっさんはどこかへ向かった。


どうする気だ?用心棒でも引き連れて、俺をボコるのか?心配なのはパメラだが・・・・


「あ・・・・もうあの人、おしまいでしょうね・・・・」


と、クールに言うパメラさん。いや、その前に自分の事心配しようね?


「えっと・・・・その・・・・どういう事なのでしょうか、その・・・口田様?」


取り残された店員さんが俺に聞く。


「ああ、さっきのやり取りじゃわからないよね?かいつまんで言うと、逆恨みだな。最近此処の店の売り上げ、目に見えて落ちてないか?」



「あ・・・はい・・・そうなんです・・・・」


「それはな、俺の店がオープンしたせいなんだが・・・それをよく思わなかったあのおっさんが、部下に命令し、俺の店にちょっかいを出してきてね。この前はテイマーが暴れてさ、そして昨晩は、俺の店を破壊しようと、それが無理だとわかると、燃やそうと火をつけたんだよ。」



俺の言葉が、想像以上だったのか、呆然としている。


「まあ悪い事は言わない、此処の店員は一度避難したほうがいい。きっとあのおっさん、俺を排除しようと荒くれどもを連れてくるから。」


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